皆さんは動物園でニホンザルとチンパンジーを見たことがあると思います。どちらのサルもむれを作ります。今日はこの2種類のサルについてのお話を書こうと思います。
ニホンザルの場合ボスを筆頭にむれの中で優劣の順位がきまっています。テレビ番組などで時々順位の低いサルがごきげんうかがいのために自分より上の順位のサルの毛づくろいをしている姿をよく見かけますね。ニホンザルのの世界では強いものが有利になるようにできていて、えさについても順位の高い順からありつけるようになってます。十分なえさがある場合、順位の低いサルでもそのおこぼれをもらうことができますがそうでない場合はただ黙っておとなしくしているしかありません。もしえさをうっかり見てしまうとそれだけで攻撃されてしまうからです。それでもむれの中にいるのは大勢の方が敵に襲われにくいし、えさを見つける確立が高くなるからだといわれています。
一方チンパンジーはというとニホンザルと同様にむれを作るのですが、通常むれを小さく分けた4〜5頭で構成されるグループごとに分かれて生活するそうです。そして時々グループ内のメンバーをグループ同士で交換しながら大きなむれを維持します。そのためメンバー間はお互いに平等だという意識をもっているそうです。そしてニホンザルと違うのは、順位の上のチンパンジーが下の順位のものにえさを分け与えるところです。強いサルは手に入れたえさを決して独り占めしようとせず、下の順位のものに分け与えることでグループのメンバーすべてが平等になるように気配りをするのだそうです。ここにはニホンザルの世界のような弱肉強食の世界は存在しません。順位の低いサルは自分に気配りをしてくれるので喜んでグループに加わるのだそうです。その点がチンパンジーがサルの中でも人に近く高等だといわれるところです。このようにお互いに助け合いができ、そのことを楽しめることが社会を成り立たせる基礎になります。そういった意味で社会というのはおたがいの気配りや思いやりから成り立つものであり、それができるからこそ我々人間は高等動物として存在しているのだということがわかります。
しかし今の社会ははたしてそういうものがきちんと存在しているのでしょうか。自己中心的な人が増えて気配りや思いやりはどんどん消えていっているというのが実情でしょう。ということは人間が高等であるからこそ作ることができた社会のしくみが消えていき、しだいにニホンザルのように強いものが得をする世界になってきているということなのだと思います。私たちは強いものが勝つということをあたりまえのように思っていますが、これは人間がしだいに退化して社会性というものを失いつつあるということかもしれません。今、私たち人間が高等動物として存在し続けるためにどうすべきなのかということをよく考える必要に迫られている気がします。
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枝 6 / 節 12 / ID 8643 作者コード:onopi
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