日が落ちるのがすっかり早くなって、毎日しずんでいく夕日と競走をしているみたいです。
先日、ある講演会に出席して、とてもいいお話を聞きました。
みなさんは「内言語(ないげんご)」という言葉を知っていますか? 生まれてから現在までに、脳の中にたくわえられた言葉のことです。簡単にいうと、「知っている言葉、使える言葉」ということになるでしょうか。
おもしろい例があります。小学校の給食の献立に、「むしパン」と書いてある日がありました。これを見た1年生の男の子がこう尋ねたのです。
「先生、このパンにはどんな虫が入っているんですか? 」
この男の子の「内言語」の中には、「虫」という言葉だけがあって「蒸す」という言葉がなかった。それで、「むしパン」は「虫パン」にしかならなかったのです。
上の例からわかるのは、「内言語」というのが人間の思考力・理解力・表現力のもとになるということです。「内言語」が多ければ多いほど、この三つの力が豊かになるといえます。よく考えると当たり前のことですが、非常に大切なことだと思うのです。
今日から、「内言語」をふやす努力をしましょう。いろいろな文章を読むことが、近道になりそうですね。低学年のうちは、親の豊かな言葉かけが重要です。学年が上になれば、知っている言葉もふえるからもういいか、というとそんなことはありません。私自身、「内言語」が少ないなあと反省しています。
講演をしてくださった先生が、次のようにおっしゃいました。
「美しい心は、美しい言葉からうまれる」
言葉は、心に直接むすびついているのです。「美しい」というところにいろいろな言葉をあてはめてみてください。(「やさしい」「力強い」、あるいは「乱暴な」などはどうでしょう。)豊かな心の持ち主に、なりたいものですね。
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枝 6 / 節 8 / ID 8760 作者コード:kirara
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