先月号の新聞では、最近の試験には記述が増えているようだという話を書きました。学習全体が、国語力に一層の重点を置くようになったということです。国語力が何よりも大事だということは当たり前なのですが、今までは実践できていなかったのでしょう。
国語の場合、勉強の方法がむずかしいという人も多いようです。漢字やことわざなどはできるのですが、作文のような記述に対応した勉強はどうすればいいか、という話でした。
作文の力には論理的な思考と表現力の総合が必要です。知識や分析力にはなんと言っても読書です。思考と表現のためには、みなさんが練習しているように、決まったテーマと決まった項目を入れて毎週作文を提出する、というのは、とてもよい訓練です。
ところで、このふたつの過程、すなわち読書と作文の間に問題が出てくるかもしれません。「分っているのに書けない」ということです。
入ってきた(浮かんできた)考えを文字で表すという脳内での高度な変換作業、これは、算数での計算ドリルと同様、音読が効果的でしょう。数量を四則の記号で抽象化したり、目で文字を追いながら一瞬のうちに言葉の概念をとらえて発音する、というのは人間ならではの能力です。「いしはもとよりひょうしょうにおいても」を「意志は基より表象に於いても」と音読するようになると言うことは、瞬時の抽象化を経て、ひとつの知識と思考を得ると言うことになると思います。
「音読が脳の活性化によい」というのは、昨今の人のよく言う所でありますし、私自身も感じているところです。目から入ってきた情報と、音読による耳からの情報、それを手が文字で表す・・この3つをつなげることのできる人間の能力は本当にすばらしいものです。
漢字や人名の暗記の際にも、ぜひ、声に出して読みながら手を動かして書いてみましょう。勉強にかかる前にまず音読で脳の準備体操、というのもよいようですが、音読してからとりかかると、確かにずっと始めやすい様な気がします。
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枝 6 / 節 11 / ID 9588 作者コード:hamura
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