中学3年生の長文の中に、「国際感覚のある人」として、「自分なりの意見をきちんともっている人」「それを正確に伝えることのできる人」「つねにステレオタイプ(型どおり)の発想をさけようと努めている人」「異文化と正面からむかおうと心がけている人」という文章がありました。外国に行かなければ国際感覚なんて身につかないと思うかもしれませんが、私はそうでもないのではないかと思っています。もちろん、外国で生活をしたことがあれば、それだけ経験上は有利かもしれません。しかし、日本国内で暮らしていても、その感覚を身につけることはできると思います。では、どうしたら国際感覚を身につけることができるのでしょう。
まず、最初の二つに注目してみましょう。「自分なりの意見をきちんともっている人」「それを正確に伝えることのできる人」とあります。自分なりの意見を持つためには、いろいろな体験をすることが大事だと思います。体験を通して様々な感情を味わうことができます。辛いことも悲しいことも楽しいことも。憤りを感じることもあるでしょう。そうした中で、自分はこうでありたい、こういうふうに思うという自分自身の意見を確立していくことが可能になってきます。確立した意見を正確に伝えることは難しいことではありますが、口頭でできなければ書くことから始めればよいのです。書くことは訂正ができるからです。相手に正確に伝わるように、いろいろな表現法を使って書いてみることです。
次に、残りの二つを見てみましょう。「ステレオタイプの発想をさけようと努める」「異文化と正面からむかおうとする」この二つには、柔軟性が求められます。こうでなければいけないという考えでいたら、この二つの姿勢を持つことはできませんね。この考えもOK,その考えも有り得る、どんな意見をも受け止められるようになるには、やはり体験が必要になってくるでしょう。どんな体験もプラス思考で受け止めていくと、柔軟に物事を考えられるようになると思うのです。プラス思考と言うと、悪いことも良いことと考えなければいけないのかと思うかもしれませんね。そうではなく、たとえ悪い体験であっても、その体験も自分のものにしてしまうということです。つまり、悪い体験も体験としての事実を受け止め、その体験を自己成長の栄養としてしまうのです。そうすることによって、考えに柔軟性が出てくる。一方的な考えではなく、方向転換もできるし、多方面から考えることができるようになると思うのです。そうなれば、自ずと異文化に対しても正面から向かうことが可能になってくるでしょう。
皆さんは毎週作文(感想文)を書くことを勉強しています。体験実例を挙げたり、自分の意見(思ったこと)を書いたりしていますね。それらを書くには、やはり体験をしなければいけません。しかし、何かをしなければ体験にならないのではなく、何もしなくても、それは「何もしない」という立派な体験になるのです。日常生活の中で、様々な体験を私達はしています。たくさんのことを体験し、感じてほしいと思います。その中から生まれた意見は、説得力があります。どんな意見でもよいのです。恥ずかしいと思わずに書いてみましょう。その意見を相手により正確に伝えられるように、皆さんは言葉の森で学んでいるのです。国際社会の中で生きていくために、国際感覚を養うための第一歩をここでしているのです。
|
|
枝 6 / 節 10 / ID 9804 作者コード:kako
|