ゴオーゴオー!薄暗い初冬の朝、あたりをゆるがすようなバーナーの音とともに、あたたかなオレンジの火柱があがります。それまで、グラウンドにぺたんと広げられていた大きな大きなじゅうたんが、ゆっくりとふくらんでいきます。おや・・・だんだんとその正体が分かってきました。ふっくらふくらんだ丸い形は、想像していたものよりもはるかに大きく、迫力があります。あ、気球だ!!!
先生は、佐賀県で行われるバルーンフェスティバルを見学してきました。大空を優雅に飛ぶ気球。テレビなど画面を通して見たことはあったのですが、自分の目で間近に見るのは初めてでした。あまりの美しさにうっとりしてしまいました。飛ぶ姿もいいのですが、見所はやはり飛び立つ瞬間かもしれません。ふわりと地上から浮き上がった瞬間、観客からは大きな拍手がわき上がりました。ゆっくりゆっくり、みんなの夢を乗せて離陸する姿はロマンチックでした。見つめる人の胸にも大空への夢が大きく広がります。いつかは、あの気球に乗ってみたいなあ。
空気の力ってなんと偉大なのでしょう。それを発見し、形にした人間の力や想像力も本当に素晴らしいですね。初めて空を飛びたいと思った人たちが夢をかなえるまでに、いくつの苦労を乗り越えてきたのでしょう。古代に思いをはせるいいきっかけになりました。気球の歴史や仕組み、空気の力など、もっと調べてみたい好奇心がむくむく・・・
ペンネーム「キングドラゴン」くんのおじいちゃんは、なんとお年を召してから、空を飛ぶハンググライダーに挑戦なさったそうです。不屈のチャレンジ精神がかっこいいですね。11月の課題に「木に登ったこと」があるのですが、現代において木登りという経験はそう簡単にはできにくい状況にあるようです。あるニュースでは公園からシーソーが撤去されているとか。「危ない」「けがをする」という安全性を重視するあまりに、私たちは危険を予想し回避する知恵や、難しいことに挑戦する勇気を忘れかけてはいないでしょうか。体験の重要性が叫ばれる現代ですが、なかなか思うように環境を整えることは難しいようです。そこで、ぜひ、おうちの方にお願いです。子ども時代に体験してきた武勇伝を語りついであげてくださいね。懐かしい目の奥に秘められたやんちゃ時代の面影は、子ども達の好奇心をくすぐること請け合いです。「お父さん、ぼくよりいたずらっこだったんだね。」「お母さんが木登りできるなんて意外!」と目を丸くして尊敬されるかもしれません。
もちろん、安全は大切です。しかし、日常を飛び出して何かを変えたいと思うとき、人はくぐりぬけなければならないハードルがあると思います。気球も一歩まちがえば大きな事故につながりかねません。しかし「少年よ大志を抱け」。冒険を愛する心に触れると、本当の命の重さを感じることができると思います。一つ、また一つ、八十をこえる気球が空一面に飛び立つ様子は、人生さながらでした。みなさんの夢もきっと大空に舞い立つ日が来ます。おうちの人と夢を語り合ってみてくださいね。作文のキーワード「もし○○だったら」と想像力を鍛える練習にももってこいですよ。
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枝 6 / 節 10 / ID 10517 作者コード:siori
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