先日、女性写真家の大石芳野(おおいし・よしの)さんという方の講演会に行ってきました。大石さんは主に世界の子どもたちの写真をとっています。
大石さんは、まずスライドで写真を見せてくれました。コソボというところで、目の前で家とお父さんを爆撃されてなくしてしまった少年や少女。その目から大つぶの涙がこぼれています。ベトナムで戦争があったとき、枯葉剤(かれはざい)という毒薬をまかれ、戦争が終わってからできた子どもたちまで障害をもって生まれてきて、病院で治療(ちりょう)をうけているすがた。カンボジアやラオスで、畑仕事をしているとき、地面にうまったままの地雷(じらい)や不発弾(ふはつだん)で足などをふきとばされてしまった子どもたち。きつい目で前を見ています。
しかし、大石さんは言いました。
「この写真は、いやがるのをむりにとったのではありません。子どもたちのほうから、『ぼくたちの姿をとってください』『そして世界の人に伝えてください』と言ってきたのです」
私は、そう言った子どもたちの強い心に感動しました。
大石さんが子どもたちに「伝えてください」と言われてこうして伝えている。それをまた、私が聞いて、みなさんに「伝えて」いるのです。
さらに、大石さんはこんなこともおっしゃりました。
「でも、世界中の戦争などで不幸な目にあった場所に行っていますが、どこでも大人と子どもの大きなちがいを感じました。子どもは、そこに針の先ほどでも、希望の光があれば、それに向かってダーッと走っていくエネルギーがあるんですよ」と。
そうして、子どもたちの大きな笑顔の写真も見せてくれました。
みなさんの中にも、「走って行く」エネルギーがあると思います。
そうして、「伝える」ことのできる力も。
「でも、日本では戦争なんかないし、『伝える』ことなんかないなあ」と思うかもしれませんが、平和な日本でできることがあります。
それは、世界中から「伝えてください」と言ってきた子どもたちに、「わかりました、あなたたちのこと、聞きましたよ」と「伝え返し」をすることなんです。
もちろん、直接写真の子どもたちに伝えることはできないでしょう。それに、今すぐ伝えることもできないでしょう。
でも、「いつか『伝え返し』しよう」という「希望」をわすれずにずっと持っていれば、何年先か、何十年先か、その子たちでなくても、にたような子どもたちに、きっと「伝え返し」できるチャンスが来ると思います。(「そっ啄の機」っていう長文覚えてますか?笑)
「情報化社会」と言われ、世界はせまくなったと言われます。自分の村のことしかわからず、そこから出ることもなかった昔の人とちがって、私たちは世界中の人々のことを知ることができるのです。これだけでも喜びなのですから、いつか「伝え返し」ができる、という希望をもつことも、今の時代だからこそできる、大きな喜びになると思います。そしてもちろん、それは「文章」で「伝え返し」することもできるのです。というわけで、「伝える力」をみがく「作文」、これも希望への一歩というわけ!
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枝 6 / 節 21 / ID 10912 作者コード:takeko
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