ほたるが見られる時期が今年もやってきました。みなさんはほたるを見たことがありますか? ほたるは清流にしかいません。絹糸をつくる蚕(かいこ)という虫がいますが、このかいこは桑の葉しか食べないそうです。それと同じように、ほたるは幼虫時代に「かわにな」という虫しか食べないのです。この「かわにな」が清流にしかいないため、ほたるも清流に生息しているのです。
日本人は、ずっと昔からほたるの美しい輝きに心をよせてきました。平安時代には、人の魂が抜け出て美しく飛び交っているのだと考えていたようです。ほたるが成虫になって飛び回ることのできる期間はたったの十日間です。この短い期間に「虫が光る」というこの単純な行いを人間は魂に結び付けて考えていたのです。水の音に涼しさを感じたり、料理を目で楽しむといった、直接的な感覚以外のものに思いを馳せることができるのは、人間のすばらしい点の一つだと思いませんか?
みなさんの作文を読んでいて感じることがあります。それは、作文を毎週書いているうちに、そういったつかみどころのない感情が多く表現されるようになっているということです。はじめは、「おいしかった」「楽しかった」というわかりやすい気持ちが書かれていた作文に、「おいしく感じられることの幸せ」や「楽しみを自分で見つける喜び」など、複雑な感情が表されるようになってきました。
この思いを言葉にすること自体、かなりたいへんな作業なのですが、言葉を選んで気持ちにぴったりの表現を工夫することで、みなさんの言葉は確実に豊かになっています。それと同時に、心も豊かになっていると先生は感じています。この変化は、どの生徒にも必ずあらわれています。国語が苦手な人、得意な人、それぞれに抱えている思いはあると思いますが、みなさんの作文はみるみる豊かになっています。「作文が上手になった」と実感するのは難しいことです。けれど、時間のあるときに昔書いた自分の作文を読み返してみてください。変わっていく自分を感じることができるかもしれませんよ☆
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枝 6 / 節 23 / ID 11228 作者コード:yayoi
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