メディア・リテラシー(英:media literacy)とは、情報メディアを批判的に読み解いて、必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力のこと。「情報を評価・識別する能力」とも言える。ただし「情報を処理する能力」や「情報を発信する能力」をメディア・リテラシーと呼んでいる場合もある。なお、この項では主に、「情報を評価・識別する能力」という意味のメディア・リテラシーについて記述する。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
「へっ? もう終わり?」
あれは、遥か20年近く前のこと。大学生になったばかりの先生は、アルバイトに精を出し、念願のオフロードバイク(自転車で言うとマウンテンバイクのモーターバイク版)を手に入れた頃のことでした。はじめて参加したオフロードラリー(舗装されていない山道を走る大会)では、何とか完走したものの確か400位ぐらいでとにかくビリ! なかなかライディングテクニックは上手くならず「どうしよう」と悩んでいたときに、あるバイク雑誌の「ライディングテクニック伝授コーナー」で受講生を募集していることを知りました。
具体的には、2,3人の参加者がプロのライダーさんにコーナーの曲がり方、小山の超え方などをタダで教えてもらい、その記事が雑誌に載るというものでした。わらにもすがる気持ちで、参加希望のハガキを書いたら、運良く当選。当日、練習場に連れて行かれ、
「はい、ここを一、二周回ってみて下さい」
と指示され、「よっしゃ」と気合いを入れて一周回ってみました。
「カシャカシャ」
うわあ、へなちょこなワインディング(コーナーカーブを曲がるときの姿勢)を撮られているなあなんて思っていたら、
「はい、今日はこれでおしまいです」
「へっ?」
こころの中では「え、終わり? 教えてくれるのではなかったの?」と思いながら、当時は若かったので(笑)、当たり前のような終わり方に「もう終わりですか?」などと聞く勇気もなく帰路につきました。しばらくして、出来上がった雑誌を見てみたら、なんと、いかにもプロのライダーさんが指導したように、指導前、指導後の写真と、コメントが掲載されていたのです。その写真って、たまたま上手くできたときと、そうじゃなかったときの二枚なんですけど・・・。
「載っている情報と事実が違う!」この時が、私のメディアリテラシー初体験でした。もちろん、その雑誌はそんな記事ばかりではないでしょう。大事なことは、メディアには見たままでない事実が含まれている可能性があるということです。その後、社会人時代は求人広告を製作していたときは、基本的には会社のいい面を伝えることに注力し、マイナス面は必要最低限伝えるべきこと伝えるのが常識でした。いいことは大きく「お客様に感動を運びます」と書いて、「残業有り」は小さめにという具合にです。作り手には事実を引き延ばしたり縮小したりして「こう見せたい」という意図が潜んでいるものなのです。
日本の小中学校ではまだ、メディアリテラシーの授業は行われているところは少ないのですが、イギリスをはじめとした欧米では、よく見るテレビCMなどを題材に、作り手の意図を考えさせたり、メディアに飲み込まれない選択眼を持つための授業が行われているそうです。皆さんもお菓子やオモチャなどの身近なCMなどを題材に、作り手の意図、表現の内容について家族でいろいろ意見を出し合うのもおもしろいでしょうね。でも、もし「ペーパーライダー必見、まだ間に合う、これで完璧ライディングテクニック講座」なんていうのを見つけたら、思わず申し込んでしまうかも……。確認、確認。
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枝 6 / 節 14 / ID 11289 作者コード:hira
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