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言葉の森新聞2007年9月1週号 通算第997号 枝 0 / 節 1 / ID 印刷設定:左余白12 右余白8 上下余白8
  ■1.9・1週は進級試験(再掲)
  ■2.知能を高める教育(その2)
  ■3.奈良公園のシカ
  ■4.ほどよいワガママをめざして(ほたる/ほた先生)
  ■5.頭のよい子になる方法は(たんたん/はらこ先生)
 
言葉の森新聞 2007年9月1週号 通算第997号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
枝 1 / 節 2 / ID
1.9・1週は進級試験(再掲) 枝 4 / 節 3 / ID 11449
 9.1週に、作文進級テストを行います。課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。7月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。
枝 6 / 節 4 / ID 11450
作者コード:
2.知能を高める教育(その2) 枝 4 / 節 5 / ID 11451
 勉強には、成績をよくするための勉強と、頭をよくするための勉強とがあります。
 成績をよくするための勉強とは、知識を追加する勉強です。頭をよくするための勉強とは、考える力をつける勉強です。
 しかし、入学試験に限って言えば、それが高校入試であっても、大学入試であっても、○○資格試験であっても、すべて知識の勉強でカバーすることができます。なぜかと言えば、出題範囲が決まっているからです。範囲が決まっている分野で、点数の差をつけるためのテストをしようとすれば、問題はどうしてもパターン化されます。テストに出される内容は、平凡で大事なことよりも、例外的で点数の差がつきやすいことが主流になってきます。(これが、現在のテスト中心の勉強の最大の弊害です)
 平凡で大事なことであれば、普通に勉強していれば十分です。しかし、例外的で差のつく勉強では、テクニックが必要になります。そのテクニックとは、現代の入試では、出そうな問題のパターンに慣れることです。
 ですから、逆に言えば、テストに合格するためのいちばん役に立つ勉強法は、過去問に当たることです。高校3年生で、よく、「過去問は実力がついてからやってみます」と言う人がいます。そうではなく、実力がないうちから、過去問に答えを書き込んで読んでおくのがいい勉強法なのです。
 さて、入学試験までは、このように過去問中心の成績をよくする勉強で間に合わせることができます。しかし、世の中には、過去問のない問題が次々と登場します。過去問も、予備校も、模擬試験もなく、突然目の前に新しい問題が登場するのが現実の社会です。そのときに、成績をよくするための勉強しかしてこなかった人は、途方に暮れてしまうことがあるのです。
 考える力のある人は、新しい問題についても、自分なりに考えることができます。それが、抽象的な思考力です。つまり、問題を、それが問題となっている次元ではなく、一つ上の次元から考えることができるのです。
 仏陀は、ある村で、子供を亡くした母親から、「子供を生き返らせてほしい」と頼まれます。仏陀には、それができるかもしれません。しかし、子供を生き返らせたところで、問題は根本的に解決するわけではありません。世界中の子供を生き返らせ続ける展望がなければ、解決は場当たり的なものにならざるを得ないからです。そこで、仏陀は、「これまで一度も死んだ人を出したことのない家からケシの種を三粒もらってきなさい」と言います。ここに、「生き返らせる」「生き返らせない」という次元を超えた、当時可能だった最善の解決策があったと思います。
 第一次南極観測隊の西堀栄三郎は、南極に着き、いざ基地を建築する段になって、日本から釘を持ってきていなかったことに気がつきます。「基地を作ることを諦めるか」「日本まで釘を取りに帰るか」などという次元の選択肢を超えて、西堀氏は、並べた板に水をかけ、凍った水で基地を建設するというやり方を提案します。
 いずれも、具体的な低い次元では解決できなかったことが、より抽象的な次元では解決できたのです。抽象的な考えとは、「人間とはそもそも……」「釘とはそもそも……」という考え方です。
 この「○○とはそもそも……」と考えるためには、「○○とは」という抽象的なものを考える力が必要です。
 では、単に成績をよくするための勉強法ではなく、頭をよくするための勉強をするためにはどうしたらいいのでしょうか。
 それには、やはり簡単な例が参考になります。1を10回加えるときに、1+1+1+……と考える方法と、1×10と考える方法がありました。問題のレベルが低いときは、スマートな掛け算を考えるよりも、1+1+1+……と力技で計算して答えを出す方が早いことが多いのです。そして、日常生活のほとんどの場面は、この力技で処理できます。
 例えば、ある人数をいくつかのグループに分ける必要があった場合、人数が少なければ、だれかが数えて分けてしまうのがいちばん簡単なやり方です。10人を3つのグループに分けるときは、3人ずつ分けていき余った1人はどこかのグループに適当に入れれば済みます。
 しかし、百人を3つに分けるときに、これと同じ方法が取れるでしょうか。千人ではどうでしょうか。1万人ではどうでしょうか。人数が多くなったときにグループ分けする方法は、もっとスマートに考える必要があります。例えば、こういう方法です。
「それでは、1万人のみなさん。みなさんの誕生日を3で割って、余りが1の人はAグループ、余りが2の人はBグループ、余りが0の人はCグループに行ってください」
 こういう方法であれば、3万9千人の人を7つのグループに分けるなどという面倒なこともすぐにできます。しかし、日常生活では、そういう大人数を分ける必要が出てくることはまれなので、抽象的に考えるタイプの人よりも、単純に大声を出して行動力を発揮できるタイプの人の方が活躍することが多いのです。
 ところが、人間は成長するにつれて、だんだん難しい役割を担うようになります。課題が難しくなり守備範囲が広くなるにつれて、単に行動力があるだけの人よりも、思考力のある人の方が仕事ができるようになってきます。
 このように考えると、頭をよくするとは、抽象的な力を高めることだということがわかります。掛け算は、足し算よりも抽象的なので、扱う数が多くなるにつれて便利になってくるのです。
 人生も似ています。その人の生活範囲が狭くて単純なときは、行動力がいちばんです。しかし、複雑さが増すにつれて、抽象的に考える能力が必要になってきます。
 その抽象的に考える能力は、低いレベルの左脳教育ではなく、また、単に左脳の対極にある右脳教育でもなく、より高い次元の左脳教育なのです。

  

枝 6 / 節 6 / ID 11452
作者コード:
3.奈良公園のシカ 枝 4 / 節 7 / ID 11453
 奈良公園には、シカがいます。そのシカによって、いろいろな問題があるはずですが、不思議とシカの放し飼いはやめようという声は上がりません。既に、歴史的な伝統があるからです。
 ヨーロッパの公園には、放し飼いのリスがいて、人になれているところがあります。これも、いろいろな弊害があるはずですが、だれも文句を言いません。
 日本人はツバメを大事にするので、家の軒先にツバメが巣を作ります。これも、もちろんフン害などがあるはずですが、みんなそれを当然のように認めています。
 そこで、私がいつも思っていることは、全国の公園にニワトリなどを放し飼いにしておけば、子供たちが毎朝タマゴ探しをして楽しく遊べるだろうということです。また、全国の街路樹を味気のないユリノキなどでなく、食べられる果樹にすれば、これも毎日子供たちが木登りをして楽しいだろうと思います。もちろん、このことによっていろいろな問題が出てくるでしょうが、面白さに比べたら出てくる問題はいずれも小さなものです。
 更に、全国の公園で、野球やサッカーのグラウンドのような出来合いのスペースを広くとらずに、だれでも自由に火をたけるカマドを作れば、いつでも近所でキャンプができて楽しいはずです。これも、いろいろな問題があるでしょうが、すべて楽しさ優先に考えれば問題は解決します。
 管理する人は、いつでも、参加者の自由裁量の余地をできるだけせばめようという発想をしがちですが、いちばんいいのは、管理者をおかずに、それぞれの人が自己管理をすることです。
 しかし、日本は真面目な人が多いので、こういう提案は実現しそうにありません。

 そこで、こう考えました。
 メガ・フロートという技術があります。これで、巨大なひょっこりひょうたん島を作って太平洋に浮かべ、希望者はそこに移住するのです。ある程度人数が集まったら、自分の属していた国から独立します。自分たちで法律を決めるのですから、法律はほとんどありません。税金もほとんどありません。警察もほとんどいません。
 そういう独立島が、世界中にできたら、世界平和はすぐに実現するでしょう。

 もちろん、世の中には悪い人もいます。
 そこで、今の1人1票の民主主義を改めます。あまり考えていない人には普通の1票ですが、みんなから信頼されている人は10票ぐらい行使できるようにします。しかし、人間の能力にはそれほど差がないはずですから、その格差はせいぜい10倍ぐらいまでです。同じく、所得の格差も、いちばん低い人と高い人で10倍ぐらいまでです。

 しかし、これでおしまいなのではありません。
 世界平和が実現し、自由で豊かな社会が実現し、いつでも楽しく遊べるようになるだけでは、人間は満足しないからです。
 人間の満足の一つの重要な要素は創造です。
 今、私が考えているのは、その創造というものの本質です。もっと足元のことを考えろという声が聞こえてきそうですが。(^^ゞ
枝 6 / 節 8 / ID 11454
作者コード:
4.ほどよいワガママをめざして(ほたる/ほた先生) 枝 4 / 節 9 / ID 11455
 「ワガママ」とか「ジコチュー」というのは、いけないものの代表のように言われていますよね。誰かのことを指して、「あいつはワガママだから」と言われたら、まずは好かれているとは思えません。では、まったく「ワガママ」や「ジコチュー」と言われない人が「いい人」なんでしょうか。そういう人を、めざしていくべきなんでしょうか。

 答えは、「No」なんですね。まったく誰からも「ワガママ」とも「ジコチュー」とも思われない人というのは、もしかしたら、いつも誰かの意見に賛成している人なのかもしれません。いつも、誰かに従っているだけなのかも。「これは好き」「あれは嫌い」という自分の意見は、もともと少しは「ワガママ」な気持ちなのですから。そういう人は、特別嫌われることもない代わり、特別好かれることもないでしょう。だって、いつも自分の意見にうなずいてくれるだけの人と、友達になりたいと思いますか? そういう人といて、面白いでしょうか? 

 かといって、もちろんみなさんもわかっているとおり、本当にいつも「ワガママ」で「ジコチュー」で、自分の意見ばかりを押し通そうとする人とも、おつきあいはしたくないですね。ということは、「ほどよくワガママで、ほどよくジコチュー」でなければならないということです。この、「ほどよく」というのがポイントです。「ほどよく」って、どれくらい? こんなことは、本にも書いてありません。何かで測るわけにもいきません。誰かに聞いても、わからないでしょう。では、どうすれば、「ほどよいワガママ」を知ることができるか。

 これはもう、経験しかありません。いろいろな人の中で、嫌われたり、好かれたり、けんかしたり、あやまったりしていく中で、どれくらいが「ほどよい」のかを、自分の経験で学んでいくしかないのです。そしてその100人100通りの経験を通じて、100通りの個性が作られていくのです。

 そしてついでに言うと(笑)、作文も同じです。自分なりの意見、自分なりの経験が書かれていない作文は、さらっと読めて、特別何の引っかかりもありません。そこにどんなにいいことが書いてあったとしても、個性のない作文というのは、読んだ人の心の中に、何の感情のざわめきも引き起こさないからです。作文においても、「ほどよいワガママ」「ほどよいジコチュー」をめざしてください。

枝 6 / 節 10 / ID 11456
作者コード:hota
 
枝 61 / 節 11 / ID 11463
5.頭のよい子になる方法は(たんたん/はらこ先生) 枝 4 / 節 12 / ID 11457
            

 頭がよい子どもになる方法は・・・
☆早起きをする ☆きちんとご飯を食べる ☆本を読む
 これで100%おつりがきます。(7月14日付朝日新聞、土曜版「フロントランナー」より) 

 これは、「脳をきたえる大人のDS」ですっかりおなじみとなった東北大学の川島隆太教授の言葉です。そう、テレビCMに出てくる、あの顔の先生です。
 川島教授いわく、脳はあきらかに午前中の方がよく働くのであって、「わたしは夜型だから、夜の方が頭がさえる」と考えるのは、まったくの妄想(もうそう)だそうです。さらに、脳の重さは体重全体のわずか2%ですが、脳が必要とするエネルギーは体全体のエネルギー消費量の約2割にも相当するそうです。ご飯をたくさん食べないと、頭がフル回転しないということですね。
 「早起き」「ご飯」「読書」。言葉の森のみなさんは毎週、課題の問題文を読んだり、読解マラソンに挑戦してくれていると思うので、「読書」は合格かな。あとは早起きのみ! 朝早く起きれば、朝ご飯をぬくこともなくなり3つの法則をらくらくクリア!! パンパカパーン、おめでとうございます!!!
                   
 いまの子どもたちは、答えに自信がないと、当てずっぽうで選ぶことすらしないのだという。なぜ、こんなにも失敗や間違(まちが)いを恐(おそ)れるようになったのだろうか。(7月29日付朝日新聞、教育面「あめはれくもり」より) 

 今度は、教育ベンチャー開発担当者の池谷聡さんのコラムです。「まちがえる」って、いやですよね。その気もち、とてもよくわかります。先生も中学生のとき、授業中にまちがった答えを発表してしまったときのことは、いまでも覚えています。その日は1日中、とてもはずかしい気分でした。あんがい、先生も気が小さいでしょ?(笑)。
 でも、その後でよいことがありました。同じような問題がテストで出るたびに、「まちがえた思い出」が頭の中によみがえり、二度と答えをまちがえなかったのです。まさに「失敗は成功のもと」ですね。
                   
 まちがえないために、ただ一言「わかりません」と答える方法もあります。でもそれは努力不足ではないかなぁ。「・・・と考えたけど、そのあとがわかりません」。これはりっぱな答えだと思います。自分がどう考えたのかを表現することは、とても大切です。たとえ、それがとちゅうでも、まちがっていても、一生けんめいに考えた大切な意見だからです。

 感想文や意見文では、自分の考えを書きます。「こんなこと書いたら、まちがいかな」なんて考える必要はありません。「こう書いた方が、よい子の意見にみえるかな」と気をつかう必要もありません。思ったことをそのままストレートに書いた作文の方が、先生も読んでいてとても楽しいものです。
 まちがいをいちいち気にしていたら、ほらほら、脳トレもタイムオーバーになってしまうでしょ。世の中、知らないことの方が多いんだから、いちいち気にせず、前へ進むのみ!
                   
 それにしても、DSを貸してもらって脳トレにチャレンジしたら、先生の脳年齢は52才でした。ちょっとヘコむわ・・・(ToT)。

                                     
枝 6 / 節 13 / ID 11458
作者コード:harako
枝 9 / 節 14 / ID 11458
 
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