先生はここのところ、仕事で古文書(こもんじょ)に触れ合っています。「触れ合う」 と言っても読めるわけではないのですが、県の文書館(もんじょかん)で古文書のマイクロフィルム撮影のための整理をしているのです。古文書と言うのは、昔の書簡、手紙や覚書(おぼえがき)、商売の出納帳、簡単な地図などな、いろいろなものをさします。先生が整理しているのは栃木県にある市の、いわゆる昔からの商家や、地主、そして県の役人さんのおうちが所蔵していたものを県が保護しているものです。江戸時代や明治時代のものが多いのですが、毎日毎日大切のしまわれた袋から出しては、しわくちゃになった和紙をていねいにのばしていきます。撮影しやすいように数を数えたり、折曲がったものを直したり…。 とっても地味な仕事です。時にはわけのわからない粉が落ちてくるし、紙のあいだには、蚊とかの虫がつぶれてくっついていたり…。 わあ、いつの蚊なんだろう? なんて叫んだりしています。古文書を見ていて驚くのは、昔の人は本当にじょうずできれいに毛筆で書いていること! どの書もそうなのです。みんな達筆だったんだなあ! と感心します。また、紙が高価ものだったのでしょう!? 半分に折って何枚か重ねて冊子にしたものには、袋状になっている中にさえ、文字が書かれています。裏返して使ったことがわかります。貴重紙を大切に使ったのですね。さらさらさら、と昔の人々が筆を使って書いていく様(さま)を頭に描きながら毎日毎日袋を開けています。
そんな中の手紙や、はがきを見ると、本当に日常的なやり取りなのですが、こんなふうに残っていると、どんな家族やお友だちを持っていたのか、伝わってきます。そして、必ずその冒頭には、相手への健康を気遣う文が添えられています。今の時代、縁遠くなってしまった手紙ですが、こんなふうに後々にも残っていくなんて結構いいなあ! と改めて思いました。
「だんだん朝晩冷え込むようになってきましたが、風邪などおひきになっていませんか…」 と誰かに手紙を書いてみようかと考えています。
みんなも季節の変わり目で体調くずす時期だから、気をつけてね!
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枝 6 / 節 11 / ID 11712 作者コード:sarada
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