先生の息子は来年4月から幼稚園に行きます。「また子どもの話かぁ」と思っている、そこのあなた!まぁ、そんなにおこらないで、読んでくださいな。
先月、息子が入園する予定の幼稚園で運動会があり、ちらりと見学してきました。すると、応えんに来ているお父さんお母さんの手には、ビデオもデジカメもありません。むむっ?最近は、ビーチパラソルをたてて、ビデオ片手に場所とりをすると聞いていたけど・・・。ぐるっと360度回転して、あたりを見回しましたが、だれもビデオを持っていないのです。
あっ、デジカメ発見!「やっぱりカメラは必要だよね。」と思ったそのとき、幼稚園の先生のやさしい声が聞こえました。
「ビデオやカメラさつえいをされますと、かわいいお子さまの姿を直接ご自分の目で見られません。がんばっているお子さまの姿を目と心に焼き付けてください。」
なんと、カメラ禁止の運動会!ちょっとびっくりしました。でもよく考えてみると、私たち現代人はカメラやビデオにたよりすぎている面があるかもしれません。
先生は「あじいちもんめ」というマンガが好きです。一人前の料理人をめざして修業する主人公の話なのですが、その中にこんな場面がありました。料理店の常連で、よっぱらいのマネがピカイチに上手な落語家がいます。その落語家は言いました。「おれは、よっぱらいだけじゃなく、世の中の人をつぶさに観察するんだ。いまの若い人は、ビデオなんてものにたよりきって、物をよく見て覚えるということができないんじゃないかな」。それを聞いた主人公は、先ぱい料理人の包丁さばきをビデオにとろうとしていた自分がはずかしくなり、じっくり観察して目に焼き付けることにした・・・という話です。
運動会で走る子どもの姿を、ビデオにとれば何度でも見られます。でも、ビデオをとることに集中してしまうと、子どものがんばる様子をじかに目で見ず、えきしょう画面とにらめっこをするだけで終わってしまいます。
「目に焼き付ける」ことの大切さを実感し、便利さにかまけた現代人の生活を反省した日でした。でもちょっとショックだったので、その日の夜には、夏に家族で海に行ったときのビデオを見て楽しみました。意味ないなぁ(笑)。
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枝 6 / 節 20 / ID 11841 作者コード:harako
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