「違うよー、アンパンマンは青い帽子だよー」
……、突然アンパンマンの話で失礼します(笑)。我が家の娘(1歳3ヶ月になりました)は今、アンパンマンのマグネット絵本に夢中です。このマグネット絵本というのは、絵本にマグネットがついた小道具(という表現でいいのかな?)が付いていて、絵本の筋に合わせて小道具を選び、貼りつけてその場面を完成させて遊ぶ、言わば「遊び絵本」です。いくつかシリーズがあるようですが、うちにあるのは「いろいろおてんき」。アンパンマンやバイキンマンが、晴れた日に帽子をかぶったり、雨の日にかさをさしたり……、たとえば、「アンパンマンは青い帽子、メロンパンナちゃんは赤、バイキンマンは黒の帽子だよ」と書いてあるので、いくつかあるマグネットの中から、それぞれの帽子のマグネットを選んで、各キャラクターに貼りつけるような遊びです。大人からしてみればなんとも他愛ない遊びなのですが、アンパンマンが大好きな娘はもう夢中!!!
「パンパンパーン(アンパンマン、と言っているらしい)」
とつぶやきながら、飽きずにずっと絵本を広げて遊んでいます。
そこで冒頭の言葉です。一緒に遊んでいると、ついつい口も手も出したくなる私。大好きなアンパンマンにマグネットを貼ったり取ったりしたいだけなのでしょう、娘はなんともとんちんかんな絵本を完成していきます。アンパンマンの頭の上に洗濯籠をのっけてみたり(これは晴れた日にみんなでお洗濯をする場面で使うらしい)、バイキンマンの背中から虹を出してみたり(これも晴れた日の場面で使うらしい)……。そこで、ついつい、
「ほらー、アンパンマンは青い帽子って書いてあるよ、はい、これだよ」
などと言いながら、正解のマグネットを手渡したりしてしまって……。一方、娘は「我関せず」と言わんばかりに、手渡した帽子を無造作に雨の日のページに貼り付けたりします。
「あーあ、ほら、雨の日にはぬれちゃううから、傘をさすんだよー」
また、ついつい傘のマグネットを手渡そうとしてしまって、
「ウルサイナー、ママハダマッテヨー」
と言いたそうな娘の顔に気付きました。……あ、もしかして、やっちゃった?
先日、こんな言葉に出会いました。
「大きな耳、小さな口、優しい目」
高畠導宏さんの言葉です。高畠さんは、ロッテオリオンズ、ヤクルト、ダイエーホークス、中日ドラゴンズ、オリックスブルーウェーブ、千葉ロッテマリーンズで打撃コーチとして落合現中日監督、イチロー選手、田口選手などを育てた名打撃コーチ。彼が選手を育てる時に心がけていた言葉だそうです。単純に「いい言葉だなあ」と思いました。人を育てるためには、まずその人の個性(言いたいこと)にじっくり耳を傾け、自分の考えをただ押し付けるようなやり方はダメだということでしょう。「人を育てる」……、子育てにも通じるいい言葉だと思ってメモまでしておいたのに……、失敗です(^^;)。アンパンマンが洗濯籠を頭にのせていたって、バイキンマンから虹が生えていたって、別にいいんですよね。娘の目に、それがすてきに映るのだから、それで楽しいのだから、
「違うよー」
なんて口を出すのはナンセンスなのです。もちろん、子育てをしていく過程で、「よく晴れた日には日射病になっちゃうからお帽子をかぶろうねー」とか、「雨の日には傘をさしたり長靴をはいたりするんだよ」と教えるために、この絵本を使う日もやがてやって来るのかもしれません。でも、今はまだ時期尚早。楽しく、自由に、大らかに。自分流で遊んでいればいいのですよね。やがて、「大きな耳」で「オシエテヨー」のサインを聞き取れたら、その時に教えてあげればいいのでしょう。
なんでもないようなことなのですが、まさに「言うは易し行うは難し」なのですね。これから、みなさんとお話する時にも、「大きな耳、小さな口、優しい目」を忘れずにいたいと改めて思いました。こらこら、誰だ、電話だから目は見えないなーなんて言っている子は! 先生がニコニコしてお話しているところを想像してねー。
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枝 6 / 節 15 / ID 12111 作者コード:mae
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