私も3月末から非常に慌ただしくしていました。その理由は、生まれ故郷の奈良から東京へ引越しをしたからです。こういうときこそ、しっかり休んで体力を温存しなければなりませんね。でも、問題は肉体的疲労だけではないのです。気持ちをゆっくりと落ち着かせないと、体は動くのに、脳みそが疲れて失敗ばっかりしてしまうのです。そのせいか私も、「おっちょこちょい」ばっかりする日々を過ごしています。今回は、数ある失敗談のなかから、とっておきのお話を一つしましょう。最後までどうぞお付き合いくださいね。
私は、西東京市のとあるアパートに新しいお部屋を借りることになりました。引っ越しをするためにはいろいろな準備が必要ですが、そのなかでも大切なのは、家電を揃えることです。だから、私も先月から、インターネットを駆使して、毎晩夜な夜なあれやこれやと気に入った商品を探していたのです。
家電といっても、欲しいものを挙げ始めたらキリがありません。だから、最低限必要なものとして、冷蔵庫・オーブンレンジ・洗濯機の三つに絞ることにしました。最初に思いついたのは、「ビックカメラ」が提供する「新生活応援キャンペーン」を利用することでした。なぜなら、ビックカメラは上記の商品をセットで安く取り揃えていることに加えて、私が以前から貯め込んでいた「ビックポイント」も利用してさらに安く買うことができるからです。でも、色とかデザインはそれぞれの商品で統一が図られていないので、「ここはこだわりたいな」と思ったのです。
次に目をつけたのが、「無印良品」の同様のサービスです。こちらも、安いセット商品を用意していますが、なんといっても色とデザインが統一されているので、見ているだけでもウキウキしてくるのです。そうして、値段をとるか、「こだわり」をとるかで考え抜いた末、「無印良品」の家電セットを購入することにしたのです。慎重に検討を進め、配送指定日時は、入居日の翌朝となる「3月27日9−12時」と設定しました。あとは商品の到着を待つだけです。
ところで、入居した日は、夜中遅くまで片付けなどに追われ、床に就いたのは明け方のことでした。疲れが溜まっていたのでしょう、スゥーっと眠りの世界に誘われた私は、夢を見ることなく目を覚ますことになりました。でも、起きてみて気づいたのは、体の芯から疲れているということでした。グッスリ寝たいのが本当のところです。しかし、すぐに家電を運んだトラックがやってくるかと思うとそうもしてられません。荷物が届いたら設置作業もしなければなりませんからね。でもやっぱりギリギリまで寝たくて仕方がない私は、あれこれと考えをめぐらせました。そうして思いついたのは、まず顔を洗ってからもう一度ウトウトすることです。そうすれば、配送業者さんに寝ぼけた顔を見せずにすみます。
でも、パジャマのまま出ていくわけにもいきません。といっても、手元にあるのは、昨晩の作業で汚れた服だけ。これを着て布団に入るのも気持ちがよくありません。だから、次に思いついたのは、枕もとに服を並べて、「ピンポ〜ン」と鳴ったら、すぐに着替えて玄関に出ていくことでした。
もうこれでバッチリ、心おきなくウトウトと夢現(ゆめうつつ)の世界を楽しみだしたのです。その間にも、道路をトラックが走る音が聞こえるたびに、「ひょっとして」と眠りから引きずり出されるの繰り返しで、もう10時を過ぎていたでしょうか。突然、携帯電話にプルプルっと着信が来たのです。「はは〜ん、荷物届ける前の確認の電話やな」と思い、寝ぼけた声を出さないように顔を両手でパシッと引き締めて電話にでたところ、実家にいる母親の声が聞こえたのです…
「いま、ぎょうさん電気製品届いたどぇ〜」…と。
いかがでしょうか。正真正銘の実話、「絶対にスベらない話此処に極まれり」です。みなさんは、こんな「おっちょこちょい」なことは決してしないでしょうが、「忙しいときだからこそしっかり休息をとる」ということの大切さを覚えていてくださいね。
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枝 6 / 節 16 / ID 12338 作者コード:kanera
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