緊張したこと
小6 すりりんご(akimano)
2025年2月1日
「よーい、はじめ。」
試験監督が「はじめ」の合図をかけた。この日は、中学入試の日だ。いつもよりも寒く風も強かった。試験途中から大きな雪のかたまりがたくさん降ってきたので試験監督の声もよくとおる。私は、中学入試の記述問題が一番緊張した思い出だ。
最初の問題が記述問題だった。科目は国語と社会。国語と社会は自分の得意科目でもある。得意科目だからこそ緊張することはあるまいと思ったが、実際は、寒さと緊張でいつもより頭が回らなくなっていた。いままで受けてきた試験会場とは空気がちがっている。教室ではあつく燃えている受験者たちがたくさんいた。まるで、寒さと受験生の熱気の寒暖差で白い息でもでそうな雰囲気だった。最初はとても緊張して頭が真白になったが、徐々にペースにのれてきた。自己採点では満点の国語と社会が終わると、次は算数と理科の記述問題だった。記述問題が各自の机の上に準備が完了するまで受験者たちは、いったん退出し廊下で待たされて教室へ入ることはできない。その時間があったおかげで廊下の窓から見える大きな雪のかたまりを見て、緊張や不安をやわらげることができた。しかし、寒さだけはやわらげることができなかった。算数と理科は、国語と社会と違って私の苦手科目だ。結局、算数と理科は、一問ずつ間違えてしまった。とても悔しかった。お昼ご飯をはさんで、次は体育の試験が始まった。私が受けた中学校は、面接の代わりに体育という試験がある。体育の試験では、ソフトボール投げ、立ち幅跳び、反復横跳びの三種の項目があった。体育は自分なりに結構できたと思う。しかし、結果は残念ながら不合格だった。補充合格の連絡も最後まであきらめずに待ったが、だめだった。手ごたえがあった分悔しくてしかたなかった。私は春から徒歩二分の公立中学校へ入学することになった。その中学校では、人一倍の努力をし、高校受験では、中学受験のような苦い思いをしないように毎日励みたい。
母にも一番緊張したことは何かを聞いてみた。いつも緊張するから一番はつけられないとのことだが、最近で緊張したことは、ストーリーテリングのイベントでのことらしい。百人のお客さんの前でステージに置かれた椅子に一人でぽつんと座り、8分の物語を何も見ずに語る。誰にも助けてもらえない状況で、椅子に座った瞬間スッポトライトが当てられ緊張したらしい。
人間にとって緊張感とは最後に福が来るものである。緊張感の後には、嬉しいことがついてくる。私の場合は、不合格と残念な結果ではあったが、これは神様が与えてくれた運命だと思うととても幸福なことではないだろうか。塞翁が馬ということわざがあるように不合格が吉になるかもしれない。これからも緊張感を持ち続け、何事にも挑戦していきたい。
「カリカリカリカリ・・・」
文字を書く時の鉛筆と紙がすれる音のテンポがだんだんとはやくなっていく。