適当な躾
   中1 あおらえ(aorae)  2025年2月1日

  本質的な問題にどう気づくのかというと、その人の素質によるもので、家庭内での躾など様々な要素がある。躾なしに育ったのでは、あることを感じ、ある方向にもっていく機能や考え方が生まれてこない。本能的にわがままな感情と理性というものが家庭の躾のようなものからでも生まれてくる。日本でも昔は伝統的な家庭の教えがあり、厳しく躾をしていて、それが人間形成の一端を担っていた。今は子供を塾等に行かせ、それを一生懸命に育てていると親は思っている。しかし、人間形成の大事な点は、人間的な感情だ。親対子の愛情は古典的、本能的なもののためどのような家庭でも愛情があれば幸福で、そこで良い人間性が育つ。従って愛情のある躾は大切だ。



 第一に、人間は基本的に群れで暮らしているからだ。愛情のある躾によって、群れで暮らすにあたり重要な社交性を手に入れる。私の学校では誰かがけんかになりそうになるたびに、他の人たちが止めようとする。それは、自分の利害に関係なく、群れで暮らすという観点から平和でいたいというものであろう。またほとんどの人は幼少期に挨拶や返事をしろ、と言われたことがあるはずだ。学校ではクラスのほぼ全員が挨拶をしている。先生にも同級生にも、である。また、何か悪いことをしてそれに築いたときは謝罪するような風潮になっている。それは人間が群れで暮らすにあたり、躾として群れから排除されないよう教えられたものであるからであると私は思っている。



 第二に、愛情のある躾によって成長できるからだ。国際NGOセーブザチルドレンの行った調査によると、しつけがしっかりしている家庭の子供はそうでない子供に比べて学業成績が約10%高いという結果が出ている。しかしながら、独立行政法人経済産業研究所の行った調査によると厳格な躾が行われた場合、子供が12歳の時点で自尊感情が15%ほど低いという結果が出ている。それはすなわち社会への適応能力で不利になるということだ。愛情的な躾という面で、筑波大学の研究によればほめるほうが、叱るほうよりも社会能力の指標でみると10%ほどの差が乳幼児で着いたそうだ。この三つの研究による結果から、躾、特に愛情にある躾は大切であるという結論を導ける。



 確かに、個々人の生まれつき持っている素質も大切にするべきである。それは役に立つ可能性もあるため、独自で伸ばして得意になっていくのもよいだろう。しかし、「躾は叡智であり、その逆もしかりである」というアメリカの精神科医M.スコット・ペックの言葉がある。ホモサピエンスは昔から神を信じていたと聞いたことがあるが、躾によって群れを統制し、また平和にしたことでここまで発展し、進化を遂げてきたのだと考えている。そのような発展はこれからも続くべきであると思うため、体罰など厳しすぎずにまた甘すぎずに、的確な、適当な躾、つまり家庭に幸福をもたらしてもくれる愛情を含んだしつけを子供に対して行うことが大切であると感じる。