おいしいナスになぁれ
   小3 はるまき(akoruka)  2025年2月2日

  おいしいナスになぁれ

             はるまき

 「何を育てたいですかー?」

そろそろ夏の6月。私達2年生は夏野菜を育てることになっていた。トマト、ピーマン、ナスと3つの選択肢があり、迷いに迷った結果、ナスにすることにした。私はナスが苦手だが、自分で作ったナスならおいしいかもしれないと思い、あえて人気のないナスを選んだ。



 まず、プランターに土と苗を入れた。ここから2ヶ月ほどで実がなるそうだ。これから毎日、朝や休み時間にナスを観察することになる。いつも学校に早く来ている私は、朝に観察したり水やりをしたりすることは全く苦ではなかったが、休み時間にそれをすることは、楽しい休み時間が潰れてしまうため少し嫌だった。

「おはようございます!」

ベランダの前に立っている先生にあいさつをしてから、まだ実がなっていないナスの前でも心の中でおはよう、とあいさつをした。

「野菜も、優しい言葉をかけるとおいしくなるからね〜」

と先生が呼びかけた。その途端、みんな

「おはよう!」

「おいしくなってね〜」

と野菜に声をかけ始めた。私も、

「おいしいナスになってね!」

と声をかけた。ナスに太陽が当たって、なぜかナスに返事を返されているような気分になった。

それからは、苦労して育てたかいもあって小さいナスの実もでき始めた。休み時間に観察することも苦にならなくなり、逆に楽しみになってきた。



 私のじいじは、小さい頃ひよこを飼っていたそうで、ある寒い日、ひよこも寒いだろうと思ってこたつに入れてあげたら次の日には死んでしまっていたらしい。良かれと思ってやっただけなのに死んでしまうなんて、じいじもひよこもかわいそうだなと感じた。もし私だったらそんなことは絶対しないが、今はネットなども発達しているので、しっかり調べてから育てたいなと思う。



 ナスもそろそろ食べ頃になってきた。親子のようになっているナスは、きっとおいしいだろうと期待してはさみで茎をチョキン、と切った。他の子もおいしそうに野菜がなっていたので、先生は

「育てた野菜を使って何かお料理を作ったら写真や動画を撮ってきてください。みんなに発表するからね〜」

と言った。色々な料理を思いついたが、以前稲刈り体験をしに行った時に食べたナス味噌おやきがとてもおいしかったので、おやきを作ることにした。生地をこね、ナス味噌を包み、焼く。

「できた!」

まず、どこがおいしそうに見えるかなと工夫し、写真を撮った。ナスが苦手なみんなも、これを見てナスって実はおいしいのかな⋯と思ってくれると嬉しいなと想像し、おやきにかぶりついた。甘じょっぱいナス味噌とほんのり甘い生地がよくマッチしていてとてもおいしい。

「これ、めっちゃおいしい!絶対また作りたい!」

とおやきを頬張る。

「やっぱり、自分で作った食べ物って、おいしいね。また作ろう!」

お母さんも喜んでくれて、思わず舞い上がってしまうような気分になった。植物なども含めて生き物は、人間と言葉が通じない。だけど、愛情を持って世話をすると、心が通じ合うこともあるから、生き物を育てる時は愛情が一番大切だと感じた。また、色々な野菜を作ってみたいな!