飼育の難しさ
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年月日
チョウチンアンコウは、世界的に有名な深海魚である。鎌倉の海岸の波うち際にいたチョウチンアンコウを八キロ離れた江の島水族館に運ばれ、八日間生きた。生きたチョウチンアンコウは、今までの謎をといてくれた。イタリアのナポリ水族館でも生きたダルマザメの発行をガラス越しに観察されている。駿河湾でとれる深海の発行ザメは、ツラナガコビトザメ以外にも、フジクジラ、カラスザメ、カスミザメと、数多い。駿河湾は発行生物の宝庫なのだ。深海魚が水族館で飼えないのは、それが深海に棲んでいるために皮膚や内臓が傷つきやすい、体がもろくて壊れやすい、環境の変化に弱いという理由のほうが大きいだろう。現代の水族館で、この未解決の課題として挑戦するのにふさわしい相手だろう。
私の家では、昨年の七月からジャンガリアンハムスターを飼い始めた。自然界のハムスターは、自分で地中に巣穴を作る。寒暖差に耐えるためや、点滴から身を隠すためだと聞いた。ほお袋に餌をためて持ち帰り、を家の貯蔵スペースに備蓄するらしい。今、家で飼っているハムスターを観察すると、自分できれいな巣を作り、身を守っている。そして餌を与えると、すぐにほお袋に入れる。家に持ち帰り、前歯と手を使って器用に食べている。また、砂浴びする時に背中や顔を砂にこすりつけることで、体を清潔にし、ダニから身を守っている。人工的に育てたとしても、自然界で育ってきたことと同じように生活しているのだなと思った。
ダイオオイカは、島根県や福岡県などに何度か生きたまま、浅瀬に打ち上げられているが、水族館で飼育すると、衰弱してすぐに死んでしまう。最近は様々な技術が整っていて、ある特定の深海魚は飼えるようになっている。しかし、ダイオオイカは飼われていない。きっと、同じ環境を作るのが難しく、その生物自体が謎に包まれているからだろう。いつか、謎を解き明かし、水質や水温、比重、明るさを調節できる水族館で飼育に挑戦し、実際に目で見たことのない魚を水族館で見てみたいと思った。
人工的に育てたとしても、その生き物が自然界で育ってきた環境によって大きく変わってくる。そのため、同じ環境を作るのが難しく、飼育できない生物がたくさんいるということが分かった。だから、何百年、何千年後に、色々な研究を通して出来上がった、飼育技術が整って、見たことのない、様々な生物を観察できるかもしれないなと、ひっそり思った。