見た目と中身
   小6 さき(auraru)  2025年2月3日

 欧米のりんごは大衆の中で育ち、生食用、加工用、料理用と多彩な用途にわかれ小玉でも外観が悪くても味が良ければよしとしている。一方で、日本のりんごは外観重視の「高級化」の道を歩んできた。日本のリンゴ栽培の方法として袋掛けというものがある。袋掛けというものは当初シンクリムシ類の被害防止が目的であった。しかし、農薬などで別の駆除法が発達した今でもりんごの袋掛けは残っており、これは外観をよくするために用いられているところがある。味よりも見た目優先する日本人の美意識には軌道修正が必要である。

 私も外観重視で中身を気にせず失敗した経験がある。それは幼少期にサンリオピューロランドに行った時のことである。私はアトラクションを終えると楽しみにしていたお土産屋へ急いだ。たくさんの可愛いグッズをひとつひとつ見てはウキウキしていた。すると、あるお弁当箱に目を奪われてしまった。それはマイメロディーのお弁当箱だった。当時、私はマイメロを推していた。だからお弁当箱が欲しいというよりマイメロの何かが欲しかったのだ。テンションが爆上がりし、このマイメロ弁当箱で食べたいと母にねだった。まるで犬が食べ物を要求するかのような勢いだった。翌日、早速母はお弁当を作り、マイメロ弁当箱に詰めていった。それをじっと私は眺めていた。すると、大好きなポテトが入らなくなり、私はがっかりした。大きく見えたその弁当箱は、中の形が複雑で容量が小さかったのだ。あれだけほしいと思って買った弁当箱は食器棚の奥に奥にとしまわれた。ここで私は、中身を考えないで購入するのはだめだと気付き、外観ばかりに気を取られた自分を反省した。

 父に外観と中身についての話を聞いてみた。父は魚をさばいて私たち家族に魚料理を時々食べさせてくれる。父が買ってくる魚は鮮やかな色をしていて臭みが一切ない。刺身を食べる時、魚釣り以外では必ず柵を買ってくる。その理由は、まずコストパフォーマンスが良いことである。第二の理由は、切ってある刺身より酸化しにくいから鮮度が保たれやすいとのことだ。私は、魚屋さんに行くともう切られたお刺身に目が行ってしまう。私にはおいしそうに見えるからだ。しかし、父は、実際に美味しいものを提供するために、柵を選んでいたのだと知った。「美味しい」にこだわるのなら、見た目の判断だけで買わないことが重要だと気付いた。

 人間にとって外観よりも中身を重視することが大切だ。しかし、現代日本人は、外観を重視してしまう。これは、現代の日本人の相手によいと思ってもらうための行動ではないかと考える。その考え方も大事ではあるとは思うが、外観だけで判断すると、中身はさておきになったり、中身はこうだと決めつけてしまったりする可能性がある。過ぎたるは猶及ばざるが如しということわざのように外観を重視しすぎることなく中身を大切に思う生活がいいのではないだろうか。