狂気によって言えること
中1 あえさし(aesasi)
2025年3月1日
狂気とは、自覚を持たない人間、あるいはこの自覚を忘れた人間の精神状態のことかもしれません。天才というものと、狂人との差は紙一重で、天才とは狂気が持続しない狂人かもしれないし、狂人とは狂気が持続している天才かもしれない。狂気なくしては、生活は展開しないこともある。 人間には狂気というものが必要だ。そう考えた理由は二つある。
第一に、抑えていた想いを狂気によって相手に注ぎ込めるからだ。その例として、妹とスキーをしていた。昔から運動神経がいい妹は、私よりもずっと上手だった。その日は特に調子がよかったのか、何度も「私すごいでしょッ!」と言ってきた。確かに上手なのは認めるが、何度も言われると反応に困る。最初は適当に笑って流していたが、次第にモヤモヤしてきた。「そう言われても、別に嬉しくないよ」気づけば、そう口にしていた。言った瞬間、妹は驚いた顔をして動きを止めた。少しの間こちらを見つめると、何も言わずにリフトの方へ歩いていった。私はふっと息を吐いた。変に溜まっていたものが消えたような、すっきりとした気持ちだった。言わないまま我慢していたら、このモヤモヤはずっと残っていただろう。言葉にするって、案外大事なことなのかもしれない。狂気を感じたことにより、言えなかったことが入れるようになった。
第二に、狂気が人を救うこともあるからだ。旅行先のホテルの部屋で、私はベッドに寝転がり、ようやく訪れた静かな時間を楽しんでいた。今日は朝から観光して歩き回り、心地よい疲労感が体を包んでいる。そろそろ眠ろうかと思っていたその時、窓の外から騒がしい声が聞こえてきた。耳を澄ますと、どうやら外国から来た観光客らしい。彼らは興奮した様子で笑い合い、大声で話している。時計を見ると、もう深夜に近い。ここはホテルだ。多くの人が休んでいる時間なのに、お構いなしに騒ぎ続けているのが腹立たしかった。
「うるさいな……」
せっかくの静寂が台無しだ。イライラしながら枕に顔をうずめたが、声はますます大きくなるばかり。フロントに苦情を入れようかと考えていたその時、私の部屋の隣からドアが開く音がした。迷惑です、と、はっきりとした声が響いた。隣の宿泊客が直接注意してくれたのだ。その一言に驚いたのか、外の騒ぎはピタリと止まり、静寂が戻ってきた。狂気は人を救うこともできる。狂気で思ったことを口にするなど、狂気でストレス発散することができることを知った。だから、私はどんなストレス発散方法があるのか知られてみたくなった。調べると、れ寝るが48%、美味しいものを食べるが36%、思いっきり泣くが、9%誰かに相談するが13%思いっきり笑うが14%などが挙げられた。やはり「思ったことを言う」という方法があることがわかった。しかし相手に言うのはそう簡単なことではない。狂気があれば言うことも可能である。
確かに冷静に物事を考えることも大切だ。しかし「狂気の中にこそ、真実がある」という、ゲルデセルバンテスが言ったように、狂気によって自分の気持ちを伝えることも大切だ。