始まりと終わりの季節
小3 いち(itiiti)
2025年3月2日
「卒業証書、高瀬いちくん、ご卒業おめでとうございます。」
担任のみさき先生が涙を浮かばせながら、震える声で僕の名前を呼びました。
「はい!ありがとうございます。」そう僕はお腹から声を出して、先生の顔をまっすぐ見て返事をしました。
これは、僕の保育園の卒園式の出来事です。僕は0歳の時からこの保育園に通っていました。お母さんは土、日も仕事だったので、僕は他の子よりも多く通っていました。色々な先生達に可愛がられて友達もたくさんできて、6年間という時間があっという間に過ぎ去りました。
お母さんは僕を0歳で入園することが決まった時、それまで毎日24時間ずっと一緒にいたので、明日から離れるのかと思うととても切なかったそうです。僕は保育園に通って1ヶ月間はギャン泣きだったそうです。僕の記憶にはありませんが、今の僕でも、きっと寂しく感じると思います。
保育園の卒園式の時、6年間過ごしてきたみんなとお別れだと思うと、すごく悲しい気持ちになりました。寂しく感じ、「時間が止まればいいのに。」と心の中で強く願いました。でも違う気持ちの自分もいました。それは小学校に向けてのワクワクする気持ちです。そこでの友達もたくさん作りたいと思いました。
「みんなと一緒にいた時間は、まるでタイムマシンで未来に飛んだようにあっという間だったよね。」
卒園式の日、友達とそう笑いながら話しました。
卒業は終わりではなく、また新しい生活の始まりだと思いました。
春は、僕にとって他にも大切な日があります。それは、お母さんの誕生日です。
「もうすぐお母さんの誕生日だね。」
僕がそう言うと、お母さんは嬉しそうな顔で頷きました。
「歳をとるのは嬉しくないけれど、いっちゃんにお祝いされるのは嬉しいな。」
僕にとって歳をとる事はなぜ嫌なのだろうと疑問に思いました。そんなお母さんを元気付けるために、今年のお母さんの誕生日に手紙を書いてあげようと思います。