思考の基盤
中1 あおらえ(aorae)
2025年3月2日
日本人が、たんぱくである代わりに持続力にかけているといわれるのも、生活感覚に左右されているところが少なくないのではあるまいか。こういう傾向が言語に影響しないはずがない。くどくどとのべるのは興ざめだとされる。そういう人たちが考え出した詩型が和歌であり俳句である。そして、その妙手たちに比較的女流が多かったことも、また驚くべきことだ。日本語全体に女性的性格が強いことは認めてよい。女性的言語が持久性の強い長編詩に結晶しないで短詩型文学を生んだのは、風土的因子によるものと考えられる。「言ひおほせて何かある」と芭蕉は言っている。「言ひおほせ」ないためには論理でもなんでも犠牲にしてかえりみない。私は直感ではなく理屈が大切だと思う。
直感ばかりに頼っていると安定した判断ができないからだ。試験の際、直感に頼らず理論的に解いていくことが大切だ。私が中学受験に向けて模擬試験を受けていたとき、ある三角形についての算数の問題が良くわからなかった。いくつかの線分比をもちいて答えを出すというそのような問題であったと薄ら薄ら記憶している。うんうんと頭をうならせても埒が明かないような気がしたので前提となる線分比を消しゴムのスリーブではかって適当に決めたのだが、試験の出題者側が回答をシンプルにする確率は低い。試験用紙にも、図は性格とは限りませんなどと書いてある。だからもちろんその適当にはかってきめた問題はバツになった。論理の飛躍がないよう、地道に、理屈を一つ一つ考えていくことは重要だ。
理屈を考えていくと、決定の結果が良いものになる可能性があるからだ。ハリー・マルコウィッツの「現代ポートフォリオ理論」では数値的な分析を用いて投資戦略を設計することは大事とされている。直感的アプローチだと、例えばA株80%、B株20%を選んだ場合効率的とは限らない。しかし、ポートフォリオ理論を使った場合、A株、B株にそれぞれ50%ずつ投資すると期待リターンは10%でリスクは13%ほどであり、その他諸々の数値を加えて鑑みるとリスクに対して効率的なリターンを得られていることがわかる。分析的アプローチをすることでリスクとリターンの関係を最適化することができる。よって直感や感情によって物事を決めるのではなく、論理的な筋道を立てながら物事を行うことは大切である。
確かに、論理的に考えすぎて他人にも冷淡にあしらうなどといったことをすると、人間関係が悪化することもある。また、論理的に考えるのは時間がかかり、論理的に考えることを大切にするあまり機を逸脱したといったことが起こるかもしれない。反対に、直感は瞬時に物事を決めることができる。しかし、「一度に一歩ずつ登ればどんなに高い山でも踏破できる」というジョン・ワナメイカーの言葉がある。日常のあちこちに潜む山、それが壁のようなものであったとしても理屈をもとに論理的に一つずつ、一歩一歩考え、進んでいくことによってついには上ることができると考えている。だから直感に従い、直感ばかり頼るのではなく、理屈を大切にするべきだ。