偏見の壁
   中2 かののん(kanonon)  2025年3月2日

 迷信が、日米相互理解の邪魔をしているのではないかと思います。日本人は、外国人はどうしても日本のことを理解できないと思い込んで一応嘆きますが、と同時に、外国人にわかってもらえないと思うとなんとなく優越感を覚えるのです。しかし、アメリカ人は、みんなアメリカのことを知っているはずだ、英語をゆっくり喋ったらどんな日本人でもわかるはずというふうに思っているのです。日本人の立場にもアメリカ人の立場にも全く悪意がない。しかし私は、相互理解が年ごとに深まっているに違いないと思っております。

 確かに、自分の考えが唯一のものと考えない視野の広さを持つことは大切だ。一昨年の夏、日本での英語のサマーキャンプに参加したとき、私はそのことを痛感した。それまで、外国人は全員納豆が嫌いだと思い込んでいた。しかし、私たちのグループを担当したアメリカ人のお姉さんが、納豆をおいしそうに食べているのを見て、納豆が好きなアメリカ人もいるのだと驚かされた。私以外にもこのような偏見を持っていた人は多く、皆このことに衝撃を覚えていた。この経験から、思い込みや偏見がいかに狭い視野を生むかを身をもって感じた。とある調査によると、初めて納豆を試すアメリカ人のうち、約60〜70%が独特な風味や粘りに抵抗を示すという報告があるそうだ。世の中には多様な文化や価値観があり、それを理解し受け入れることで、より豊かな視点が得られるのではないだろうか。

 しかし、他人にわずらわされず自分の世界を深く掘り下げていくのも大切だ。例えば、日本の昔話「一寸法師」では、小さな体で戦えるわけがないと周りから言われ続けた主人公が、あきらめずに自分の信念を貫いた結果、鬼退治に成功した。この話では、他人の評価や偏見に左右されず、自分の道を進むことの大切さを教えている。また、偉大な科学者や芸術家たちも、周囲の批判に屈せずに自分の研究や創作に没頭して成果を上げた例が多い。例えば、ガリレオ・ガリレイの地動説の話などが挙げられる。ガリレオは、地動説を支持し、地球が太陽の周りを回ると主張し続けた。これは当時の教会の教義に反していたため、彼は教会から激しく非難されていた。しかし、彼は自分の観察と実験結果に基づいて信念を貫き、後に科学革命の礎となった。ガリレオが亡くなってしまった後ではあるが、最終的にガリレオの地動説は証明され、近代科学の発展に大きな影響を与えた。このように周りの意見に惑わされずに自分の信念を貫き通すためには、強い意志と忍耐が必要であり、とても偉大なことだと思う。

 確かに、自分の考えが唯一のものと考えない視野の広さを持つことは大切だし、他人に煩わされず自分の世界を深く掘り下げていくのも大切だ。しかし、一番大切なのは、「人を裁くときには、その人の歩んだ道をまず二週間歩いてみよ」というネイティブアメリカンの名言があるように、お互いを尊重し合えるように自分を高めていくことだ。例えば、イギリスの作家C.S.ルイスは、宗教や思想が異なる友人たちとも深い友情を築いていた。彼は、自分の信念を持ちながらも相手の考えに耳を傾け、その違いを尊重していたのだ。このように、相手の立場に立って考えることで、対立ではなく理解と調和が生まれるのではないか。