「どうせお前だろ」という会話から始まり、一気に読者の興味(きょうみ)を引きつける工夫(くふう)がされていますね。最初(さいしょ)にお兄ちゃんの反応(はんのう)描き(えがき)、それに対して「なぜ騒ぎ(さわぎ)もせずに出てきたんだろう」と疑問(ぎもん)を持つことで、読み手も「何があったんだろう?」と気になり、続き(つづき)を読みたくなるようになっています。

 また、お兄ちゃんにいたずらをしたときの自分の驚き(おどろき)が、「まるで何事もなかったかのような顔でトイレから出てきました」という表現(ひょうげん)でうまく伝わっ(つたわっ)ています。たとえを使うことで、お兄ちゃんの冷静(れいせい)な様子がよりはっきりとイメージできますね。

 次に、お兄ちゃんが仕返しをする場面の描き(えがき)方がとても上手です。「ぎゃー」という叫び声(さけびごえ)をそのまま書くことで、暗闇(くらやみ)驚い(おどろい)たようすが生き生きと伝わっ(つたわっ)てきます。さらに、シャワーの水をかけた後、お兄ちゃんが「笑っ(わらっ)ていたのでほっとしました」と心の中の気持ちを書くことで、単なる(たんなる)いたずらの話ではなく、お兄ちゃんとの関係(かんけい)(せい)も感じられます。

 作文の後半では、お兄ちゃんや両親のいたずらについて書かれていて、とてもおもしろい展開(てんかい)になっています。ここで、「お父さんとお母さんのいたずらは(ぼく)のいたずらよりひどいなぁと思いました」と自分の意見を書いているのがいいですね。単に(たんに)「びっくりした」や「楽しかった」で終わらせず、「いたずらをする人は楽しいけれど、いたずらをされる人は笑える(わらえる)くらいじゃないとかわいそうだなと思いました」という考えで締めくくっ(しめくくっ)ているのがとてもよいです。いたずらをする(がわ)の気持ちだけでなく、される(がわ)の気持ちにも気づいたことが、この作文の一番のポイントですね。

 全体(てき)に、場面ごとの「心の中のつぶやき」がしっかり書かれていて、読み手が共感(きょうかん)しやすい作文になっています。清書(せいしょ)するならば「暗くなったときにどんな気持ちになったのか」「シャワーの水をかけたときのお兄ちゃんの様子」などを書いてみてもいいですね。

△「顔」の漢字を確認(かくにん)しておいてね。
△ないしょで食べたそうです→ないしょで友だちのポップコーンを食べたそうです
△入て→入れて

 


■思考語彙 10個
。なぜ,いうと,こう思う,せざる,たので,たはず,だろう,で思う,と思う,ないと,

■知識語彙 11種
何事,内緒,友達,失敗,悲鳴,映画,椅子,瞬間,苦手,電気,風呂,

■表現語彙 43種
いたずら,お前,お母さん,お父さん,かわいそう,こと,そう,たはず,とき,ところ,びしょ濡れ,よう,ん,ゴム,シャワー,ダッシュ,トイレ,ピンポン,ポケット,中,人,何事,僕,兄ちゃん,内緒,友達,失敗,家,心,悲鳴,映画,椅子,水,瞬間,苦手,虫,話,通り,電気,頃,顔,風呂,騒ぎ,

■文化語彙 22種
あげる,おく,かける,こう思う,しまう,で思う,と思う,のぞく,れる,入る,入れる,出る,叫ぶ,座る,引く,忘れる,怒る,消す,笑う,笑える,聞く,食べる,

 

失敗したいたずら
   小4 しょう(akitaha)  2025年4月1日

「どうせお前だろ」

とお兄ちゃんが騒ぎもせずに、いつも通りにトイレから出てきました。なぜ騒ぎもせずに出てきたんだろうと。僕は心の中で思いました。なぜ僕がこう思ったかというと、お兄ちゃんがトイレに入っているときにトイレの電気を消したのです。ですが、お兄ちゃんはいつも通りに出てきたのです。まるで何事もなかったかのような顔でトイレから出てきました。電気を消したはずなのにと僕は心の中で思いました。僕は暗いところが苦手です。お兄ちゃんのいたずらは失敗してしまいました。もし僕がトイレに入っているときに同じことをされたら叫んでしまうと思いました。

 すっかりお兄ちゃんにしたいたずらを僕が忘れた頃、お風呂に入っているときにお兄ちゃんにお風呂の電気を消されました。僕は

「ぎゃー」

と悲鳴をあげました。笑ってのぞいてきたお兄ちゃんにシャワーの水をかけました。びしょ濡れになったお兄ちゃんはお母さんに怒られると思いましたけれど、笑っていたのでほっとしました。

 お兄ちゃんから聞いた話は、友達と映画を見ているときに内緒で食べたそうです。お父さんとお母さんから聞いた話は、椅子を座る瞬間に引いたり、友達の家のピンポンをしてダッシュしたり、ポケットの中にゴムの虫を入れておいたりしたそうです。お父さんとお母さんのいたずらは僕のいたずらよりひどいなぁと思いました。いたずらをする人は楽しいけれど、いたずらをされる人は笑えるくらいじゃないとかわいそうだなと思いました。