「嫌い」を使ったいたずら
小4 はるまき(akoruka)
2025年4月1日
「嫌い」を使ったいたずら
はるまき
「ギャーッ!!」
じいじとばあばの家に、叫び声が響いた。この声はばあばだろうか。窓に、ヤモリがべったりと張り付いている。そう、ばあばはヤモリが大嫌い。ヤモリは、ベタベタしているのが特徴の爬虫類だ。私は、つぶらな目が宇宙人っぽくて好きなのだが、ばあばは大嫌いだそうだ。今日は、ばあばのヤモリ嫌いを使っていたずらをしてみることにした。
どういういたずらかというと、ばあばが目をつぶっている間に、手にリアルなヤモリの人形を置くといういたずらだ。尻尾のところに紐がついているが、手触りもペタペタサラサラしていてかなりリアルな人形となっているので、ばあばがかなり大きい悲鳴をあげることが期待できる。
「ばあば、目をつぶって手を出して。」
私は、そう言った時点から笑いをこらえていた。ばあばの悲鳴や泣きそうな顔を思い浮かべると、ついつい笑ってしまいそうになる。よし、人形を置こう。ばあばは、私がいたずらするということはわかっていたと思うが、まさかヤモリの人形を置くとは夢にも思っていないだろう。
「目開けていいよ。」
私がそう言って、ばあばが目を開けたとたん⋯
「ギャアアアアッ!!!」
いつもより一段と大きな叫び声が、家に鳴り響いた!
「びっくりするじゃない!近所の人が心配して出てきちゃうわよ!」
ばあばのその声は、いたずらをされて怒っている感情と、人形だとわかった安心感と、少しおもしろがっている感情が混ざっていた。
「ごめんごめん!でもさぁ、ヤモリは、ヤは家で、モリは守る、だから『家守り』なんだよ?追い払ったら可哀想じゃん!」
いくら嫌いでも、『家守り』を追い払うのは可哀想だろう。窓に張り付くことで家を守ってくれているのだから、神様のような動物ではないか。
「でも、あのベタベタした感じが嫌なの〜!」
ばあばは困ったようにそう言った。まぁ、人それぞれ好き嫌いはある。私だってお肉やきのこが嫌いなんだから、同じようなことか。
じいじに、昔したいたずらを聞いてみることにした。じいじが小学三年生だった頃のことだ。学校の近くにいちご畑がありたくさんいちごが実っていたので、じいじは裏表で色が分かれている赤白帽に入れて家に持って帰ろうと考えた。いちごをお母さんに見せている途中、、ふと赤白帽をのぞいてみると、白いところが真っ赤に!お母さんにひどく怒られたそうだ。家族のために美味しいいちごを持って帰ったのに怒られるとは、可哀想だなと感じた。だけど、なんで赤いところに入れなかったのだろう。普通なら、白いところが真っ赤になってしまうことを考え赤いところに入れるはずなのだが⋯まぁ、あのドジなじいじならあり得るかな、と微笑ましくその話を聞いた。
ばあばにいたずらをして三年。今だと、申し訳無く感じている。人それぞれ好き嫌いがあるのに、それを利用していたずらしたのは、悪かったかなと思っている。だけど、やっぱりいたずらは楽しい。された人も、スリルを楽しめる。あまりいたずらをする時はないけれど、機会があればまたやってみたい。