今年度は「総合化の主題」という書き方を学んでいきましょう♪

【総評】
 この作文は「長所と短所」というテーマについて、自分の身の回りの実例や歴史上の人物の話を用いながら、非常に丁寧(ていねい)に考えをまとめている意見文です。四段落構成も明確で、それぞれの段落が目的に沿って展開されており、読み手が論の流れを自然に追うことができます。また、「長所を伸ばす(のばす)こと」「短所を直すこと」のどちらにも価値があるとした上で、それを総合し「自分らしさを持つこと」の重要性にまとめた結論がとてもよくできています。

【第一段落(要約・状況(じょうきょう)説明)】
 最初に「長所と短所」がどのような関係にあるかを身近な例から説明していて、読者にとっても分かりやすい導入になっています。クラスメイトや姉の具体例もよく選ばれており、「謙虚(けんきょ)さ」や「慎重(しんちょう)さ」が一概に(いちがいに)良いとも悪いとも言えないという複雑さがよく伝わってきます。身近な実例を通してテーマを浮き彫り(うきぼり)にする力がしっかりしています。

【第二段落(意見A:長所を伸ばす(のばす))】
 お箏のエピソードが非常に具体的で、長所を伸ばす(のばす)ことがどのように自信や自己表現につながるのかを実感をこめて伝えています。「○○といえばこの人」という表現には自作名言のような味わいがあり、自分の経験を通して得た学びが明確に伝わってきます。自分の特技を大切にし、個性として育てていこうとする前向きな姿勢が素晴らしいです。

【第三段落(意見B:短所を直す)】
 アインシュタインの話を例に、短所と見なされる面にも可能性があるという視点がよく出ています。「六角形のグラフ」というたとえも非常に分かりやすく、抽象(ちゅうしょう)的な話に具体性を持たせています。ここでも自分なりの視点で「バランスの取れた人間になること」の大切さを説明できていて、思考の深まりが感じられます。

【第四段落(総合化・名言の引用)】
 「周囲に惑わさ(まどわさ)れず、自分の心に従いなさい」という名言を取り上げたうえで、「長所と短所の両方を認めた上での自分らしさ」の大切さを示しており、意見の総合化がきれいにまとまっています。「野に咲く(さく)花のように、自分らしく生きる」という表現は詩的で美しく、作文全体の締めくくり(しめくくり)として非常に印象的です。中学二年生とは思えないほど、言葉の使い方が丁寧(ていねい)で成熟しています。

【この作文で特に優れていた点】

四段落構成に沿って明確に論を展開している

身近な人物や実体験を取り入れた実例が説得力を高めている

自作名言的な表現やたとえ(六角形のグラフ)で内容を印象づけている

結論が単なる折衷(せっちゅう)ではなく「自分らしさを持つこと」という高次の視点でまとめられている

【考えを深めるための質問】
 あなたが今までに「これは自分の短所だ」と感じていたけれど、後になって「実は大切な一面だったかもしれない」と気づいたことはありますか? それはどんな場面で、どうしてそのように感じたのでしょうか?
 


■思考語彙 29個
 しかし, 確か,。しかし,。だからこそ,「なぜ,いえば,いけば,いると,うるから,おけば,が言える,すると,たため,だから,と思う,と言える,ならざる,なれるから,に考える,られると,れざる,低ければ,失わざる,少ないため,成績こそ,気づけば,深く考える,直すと,自分らしい,

■知識語彙 68種
上達,世代,世紀,人物,人間,偉大,先生,全体,六角形,内向,努力,効果,印象,名言,周囲,大事,大切,天才,失敗,存在,学校,安定,完璧,小学,平凡,年生,幼少,後悔,意見,意識,慎重,成績,成長,披露,挑戦,探究,最初,最大,極端,無理,物事,特別,特徴,理解,理論,発揮,発表,短所,科学,種類,突出,結果,練習,自信,自分,自然,自身,行事,言葉,評価,謙虚,部分,長所,関心,非常,革命,項目,魅力,

■表現語彙 122種
 確か,うち,げ,こと,さ,せい,それ,たため,たび,とき,やる気,よう,アインシュタイン,クラス,グラフ,バランス,ペース,ミス,一,上,上達,世代,世紀,事,人,人物,人間,他,偉大,先生,全て,全体,六角形,内向,力,努力,効果,印象,名言,周り,周囲,声,大事,大切,天才,失敗,姉,姿,子,存在,学び,学校,安定,完璧,小学,少ないため,差,平凡,年生,幼少,強み,彼,後,後悔,心,意見,意識,慎重,成績,成長,披露,挑戦,探究,最初,最大,期,極端,様々,歳,気,気遣い,無理,物事,特別,特徴,理解,理論,癖,発揮,発表,的,短所,私,科学,種類,突出,箏,結果,練習,考え,者,自信,自分,自然,自身,花,行事,言葉,評価,誰,謙虚,軸,部分,野,長所,関心,非常,面,革命,頃,項目,魅力,

■文化語彙 58種
うる,おく,かける,が言える,すぎる,せる,つく,つながる,できる,と思う,と言える,なさる,なれる,に考える,ほめる,もらえる,やる,られる,れる,乗り越える,伸ばす,使う,出る,加える,取れる,向き合う,含める,呼ぶ,咲く,増える,失う,崩れる,従う,思い切る,惑わす,感じる,打ち立てる,持つ,接す,残る,気づく,深く考える,生きる,直す,示す,突き抜ける,続ける,習う,育てる,表す,補う,見かける,見なす,話す,追う,違う,頼る,驚く,

 

長所と短所、あだ名は良いか
   中2 あえもま(aemoma)  2025年4月1日

 長所と短所に関する身近な実例としては、謙虚であることが自分の意見を言いづらくさせたり、慎重に考えすぎることが挑戦を避ける原因になることが挙げられる。実際に、私のクラスに謙虚な子がいた。その子は周りの気遣いがよく接しやすかったが、時に周りに気を使いすぎて、自身の意見が言えていないことがあった。また、私の姉は何でもかんでも慎重に考えすぎる癖があり、そのせいか、失敗やミスは少ないが、後になって「思い切ってやっておけばよかった。」と後悔している姿を時々見かける。このように長所と短所には、様々な種類がある。



 確かに長所を伸ばすのは大切だ。なぜなら、長所を伸ばすのは、効果が出やすく、楽しい上に、突き抜けた特徴になりうるからだ。私は小学一年生の頃からお箏を習っている。最初は難しかったが、気づけば練習が楽しくなっていた。先生にほめられるとさらにやる気が出て、自然と上達も早くなった。お箏は、同世代でやっている人が少ないため、学校の発表などで披露すると「すごい!」と驚かれることが多い。そのたびに、続けていてよかったと感じる。長所を大切にして育てていけば、それは周りと差がつく強みとなり、自分を表す特別な一面になるのだと思う。特に、他の人と違うことに挑戦していると、それだけで印象に残りやすい。発表や行事のときに声をかけられるなど、人に頼られることも増えて、自信にもつながる。自分でも意識しないうちに、「○○といえばこの人」と思ってもらえるような存在になれるのは、長所を伸ばす大きな魅力だ。



 しかし、短所を直すことも大切だ。 短所を直すとよりバランスの取れた人間になれるからである。「20世紀最大の科学者」とも言われる、アインシュタインの幼少期は、非常に内向的で、5歳になるまでほとんど話さなかったという。 言葉を使うのが遅かったことに加え、学校の学びに関心を示さなかったため、学校からの評価も決して高くなかった。だが、アインシュタインは内向的であるがゆえに、物事を深く考え、自分のペースで探究する力を育てた。成績こそ平凡だったものの、誰よりも粘り強く「なぜ?」を追い続け、自分の考えを大切にした。その結果、様々な革命的な理論を打ち立て、「天才」と呼ばれるまでになった。このように、短所と見なされていた部分を理解し、乗り越えたことが、彼を偉大な人物へと成長させたと言える。さらに、六角形のグラフにあるように、ある項目だけが突出していても、他が極端に低ければ全体のバランスは崩れる。だからこそ、自分の短所と向き合い、それを補う努力をすることで、より安定した力を発揮できる人間になれるのだ。



 このように、長所を伸ばすことも短所を直すことも大切だ。しかし、最も大切な事は、自分の軸を失わず、自分らしさを持つことだ。「周囲に惑わされず、自分の心に従いなさい」という名言があるように、長所も短所も含めて全てが自分なのだから、無理に完璧な人間にならず、野に咲く花のように、自分らしく生きることが大事なのである。