授業の渚 nnze -03-1


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 信頼できる大人の規範を内在化させた人生。
「『天知る。地知る。われ知る。汝知る』っていうでしょう」というように育てられてきた子供が成長すると、人が見ていなくても正しいことをします。
 道ばたに財布が落ちていると、ほとんどの人は交番に届けます。規範が内在化されているからです。
 しかし、規範が内在化されない言い方もあります。
「そんなことすると、おまわりさん怒られるわよ」。そう言われながら育った子は、付和雷同的の人生になります。
「どこ行くの」
「いやあ、みんなが行くから一緒に」
 こういう人も、いそうです。

 では、漫画を見てましょう。
 予測問題の主題なので、規範を内在化させた生き方が行き過ぎた場合の例を考えてみるといいでしょう。
 広い道路で、絶対に車の来ないような道です。
「もう、一時間も待っているのに。モレチャウ」
 実は信号が故障していました。
 こういう真面目な人もいます。規範が内在化しているので、だれもいなくても信号が青になるまで道路は渡らないというケースです。

 規範の内在化していない典型的な動物が猫です。
「お魚、食べちゃだめよ」
「ニャン」
 しっかり返事をしたはずの猫なのに、人がくるっと背中を向けたとたんに魚を食べてしまいます。人の目がなくなったら、すぐ泥棒をするのです。猫だけは本当に何を考えているのかわかりません(笑)。しかし、だから猫はいつも幸せです。

 主題は、自由な内在化ということになるでしょう。
 自分の内部に規範を持つ、しかし、それに縛られない、ということがより高い次元の意見になりそうです。
 対策は、まず原点を考える、ということです。信号のために人間があるのではなく、人間のために信号があるということです。
 もう一つは、公開された議論です。
「メザシはいいけど、タイはだめね」
「いやだ、両方食べたい」
「じゃあ、もっとおいしいキャットフードにして」
 このように、内在化も、相互の議論によって成長するということです。