授業の渚 ma-05-1


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 マキの山の課題の説明だよ。
(1)
 さて、ある村に樹齢二百年のヒノキがあった。
 第一段落は要約だよ。大事なところを大きく三つぐらい選んでみようね。そして、その要約に続けて、「木の文化に代表されるような、お金に換算できない価値を大切にしていきたい」と意見を書いていく。
(2)
 このヒノキの活用法として、どれがいちばん高く売れるだろう。1番表札、2番つまようじ、3番合板、4番たき火。もちろんたき火だね。うそだよ。そのころは、表札。今ならヒノキを薄い紙のような板にして、表側だけにそのヒノキの木目を貼った合板にするのがいちばん高く売れるということだった。
 第二段落は、その理由だよ。「第一の理由は、お金の価値だけを考えていると、考え方が貧しくなってしまうからだ」。例えば、人からものをもらうとき、すぐに「これ、いくらだろう」と考えちゃう人がいるでしょ。パオ君もそうだけどね。例えば、おばあちゃんがお年玉に500円をくれた。「ちぇっ、500円か」と考えちゃだめなんだよ。お年玉をくれたという心に感謝するんだ。でも、もっとたくさんほしいけどね。
(3)
 表札がいちばんいいと聞いた村長さんの頭の中では、村の人たちに愛されたヒノキの姿とお札の束がてんびんにかけられていた。
 そして、やっぱり表札などにするのはかわいそう、というのが村長さんの結論だった。
 さて、第三段落は、理由の二番。「第二の理由は、そのことが結局豊かな文化を守ることにつながるからだ」。例えば、四国の四万十川では昔、ダムを作る計画があったらしい。『しまんじゅう川』と呼びそうになってしまうほどおいしそうな川だね。きれいな水だけ流れていてもしょうがない。その水を活用して発電でもした方がいいという発想だね。ところが、採算が合わないのでダム建設は中止になった。そのために今も清流が流れている。今では、その清流が文化だったということがわかるけどね。それから、昔、北海道の釧路湿原に工業団地を作ろうという計画があった。あんな湿原などという水たまりのようなものがいくつあってもしょうがないという考えだね。しかし、これも採算が合わないのでとりやめになった。今では、釧路湿原は世界文化遺産に登録されている。しかし、当時の日本人は、たぶんパオ君も含めてほとんどの人が、工業団地を作る方が合理的だと考えていたと思うんだ。また、戦争中は、ペットの犬を飼うなんて贅沢だからということで、犬を飼っている人はみんなそれを手放さなければならなくなった。ペットに服を着せたり、お化粧させたりする現代では考えられないことだね。ほかにも似た話を考えてみよう。
(4)
 最後に、第四段落は、意見。「確かに、お金に換算できる価値を考えることで、経済は発展して、より豊かになってきた。だって、みんながみんな、古い文化が大切だと思っていたら、今でも道路には、自動車など走らないで、昔ながらの牛車がのんびり人を運んでいるかもしれない。まあ、それはそれで面白いけどね。反対意見への理解を書いたあとに、最初の意見に戻って、「しかし、お金とは違う価値も大切にしていきたい」とまとめていく。
 今回の字数の目標は600字。でも、できれば1200字までがんばろう。
(5)
 では、ここで小話。「あるところに、木という人がいました。そのお兄さんの名前は金でした。ある日、お兄さんの金はテーブルの上においてある饅頭を見て、『お、これはうまそう』と食べてしまいました。そこに弟の木が帰ってきました。木は、なくなった饅頭を見て、『お兄ちゃん、ぼくの饅頭知らない?』。すると金は、『あ、あれ、木の文化』