ワ 6.2週 科学技術は地域や民族の(感)
第一段落は、状況実例です。 日本は鎖国時代に、ポルトガル人から鉄砲を手に入れ、その鉄砲をただちに分解して自分たちで作れるようにし、世界最大の鉄砲生産国となりました。しかし、鉄砲を武器として使うという発想は、日本文化にはあまりなかったので、せっかく優れた鉄砲技術を持ちながら、その技術を発展させるのではなく、武士は従来の刀の世界でずっと生きてきました。ヨーロッパの文化は、勝つために武器を使うという文化です。日本の文化は、美しく戦うために武器を使うという文化だったのかもしれません。 さて、日本の自動車はこれまで、アメリカではよく売れたがヨーロッパではなかなか売れなかったようです。アメリカは、性能がよくて安ければその製品を評価する文化です。ある意味で、文化的にはあまり深みがないと言えるかもしれません。ヨーロッパの文化は、性能や価格以外に、その製品の持つ文化的な匂いを大事にするようです。 日本人は、欧米に追いつき追い越す形で、欧米の科学技術を消化してきました。しかし、これからは、日本の文化に根ざした科学技術を発展させるべきなのかもしれません。 第二段落は、その方法です。 第一は、他国の科学技術や社会制度などのハードの部分を受け入れるときは、その背後にある文化のソフトの部分も見る必要があるということです。そうでなければ、真にそのハードの部分を生かすことができなくなるでしょう。 わかりやすく、自分の体験で書いてみるといいかもしれません。例えば、友達の勉強法の形だけ真似してみたが、なかなかうまく行かない。友達をよく見てみると、成績が上がると親からお小遣いがもらえるというソフトの部分が背後にあって、それが外見の勉強法を生かしていた、というような例です。諺で言うと、「鵜の真似をするカラス水におぼれる」ということになるでしょうか。 第三段落は、方法2です。 外国の科学技術や社会制度を吸収するときは、そこに日本の文化を生かすようにするということです。友達の勉強法の真似をするときに、自分の長所をうまく生かして友達のやり方を取り入れるというようなことです。例えば、日本は、外国からタクシーという技術を取り入れました。しかし、自動的にドアが開くようなサービスをしているのは、日本のタクシーだけのようです。また、自動販売機が「いらっしゃいませ」などというのも、たぶん日本的な思いやりの所産でしょう。 第四段落はまとめです。 確かに、他国の文化を貪欲に取り入れることは大事です。しかし、その文化のソフト面と、自国の文化のソフト面をよく考えなければ、表面的な摂取になってしまうということです。 ここに自作名言を入れてみましょう。例えば、「文化は、物という形をとるが、その物に結びついているのではなく、その物を作り出した人間に心に結びついているのである」。 |