授業の渚 nnga-05-4


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高2 5.4週

【1】
 今日は清書です。
 これまでに書いたもので、自分の気に入ったものをきれいに書き直してください。
 大事なことは三つあります。
 第一は、要約は入れないか、自分なりの実例に書き換えるということです。
 第二は、項目のカッコ書きなども消しておくということです。
 第三は、名言の引用なども、できれば消しておくということです。
 つまり、普段の◎のつくような練習ではなく、作品としていいものを残すということで書いていってください。
 では、今日はユーモア表現について説明していきましょう。

【2】
 ユーモアというのは、読み手に対するサービスです。しかし、そういうサービスをすると、書いている当の自分も楽しくなります。
 では、ユーモアの本質とは何なのでしょうか。
 例えば、みなさんは、くすぐられたときに笑うでしょう。しかし、軽くさわられただけでは笑いません。かえって、「ちょっと何よ。気持ち悪いでしょ」と言われてしまいます。また、思いっきりこすられたときも笑いません。「なんだよ。痛いだろ」と言われてしまいます。弱すぎもせず、強すぎもせずにこちょこちょとやられるからくすぐったくなるのです。
 ユーモア表現も同じです。ある話のあとに同じような話が続いても、軽くさわられているのと同じで面白くもなんともありません。しかし、逆にある話のあとに、全く違う話が来てもギャップが大きいために強くこすられているのと同じで、かえって摩擦を感じてしまいます。ある話のあと、ちょっとだけギャップのある話が来ると、読み手は面白く感じるのです。
 そのギャップには、大きく分けて三つの方向があります。一つは内向きのギャップ、もう一つは外向きのギャップ、三つめは横にずれるギャップです。何だか真面目な話になってきましたねえ。
 内向きのギャップとは、大きいものを小さくするギャップです。自分のことを笑うギャップがこれです。人間はだれでも自分を自慢したいと思っているので、その自慢が続くかなあと思って話を聞いているときに、急にドジな話になるとおかしいのです。
 例えば、桃太郎の話を例にして言ってみましょう。
犬「桃太郎さん、お腰につけたキビ団子を一つ私にください。お供します」
桃太郎「ごめん。うちに忘れてきちゃった」
 格好いいはずの桃太郎が意外と間抜けだったというところが面白いのです。
 あと、こういうのも内向きのギャップです。
「みんな、しっかり勉強するんだぞ。先生なんて勉強が好きで、大学に5年間もいたんだぞ」
自慢かと思ったら、単に留年しただけというところが面白いところです。

【3】
 次は、外向きのギャップです。これは、あるものごとを急にオーバーにふくらませて言うことです。
 また桃太郎の例で言ってみましょう。
「おばあさんは、川へ洗濯に行きました。すると、川上から巨大な桃がころがり落ちてきました。おばあさんは、そのまま桃の下敷きになってしまいました。」
 もう一つ、別の例で言ってみましょう。
「ぼくは、あまりにもうれしくて、心臓が口から飛び出てしまいました。」
こんなことはありえないから面白いのです。

【4】
 最後は、横向きのギャップです。
 また、桃太郎の例で言ってみましょう。
「おじいさんは、山へクマ狩りに、おばあさんは、川へいかだ下りに行きました。」のどかな村の、おとなしいおじいさんおばあさんというイメージとギャップがあるところがおかしいところです。
 もう一つ、いってみましょう。
「鬼から金棒をもらった桃太郎は、それから村を荒らしに行きました。」
正義と悪のギャップがおかしいということです。
 もう一つ、いってみましょう。
「そんなにかわいそうなことするなよ。鬼だって、犬や猿と同じ人間だろ」
全然違うところが面白いということです。
 それではみなさんもギャップを生かして、ユーモア表現を入れていってください。