授業の渚 nnza-05-4


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高3 5.4週

【1】
 今日は清書です。
 これまでに書いたもので、自分の気に入ったものをきれいに書き直してください。
 大事なことは三つあります。
 第一は、要約は入れないか、自分なりの実例に書き換えるということです。
 第二は、項目のカッコ書きなども消しておくということです。
 第三は、名言の引用なども、できれば消しておくということです。
 つまり、普段の◎のつくような練習ではなく、作品としていいものを残すということで書いていってください。
 さて、今日は対策の書き方を練習していきましょう。
 まず、最初に言えることは、対策などはそんなに簡単に書けるものではないということです。もし、みなさんが、出されたテーマにすぐに的確な対策を書けるとしたら、そんなテーマはもうとっくに解決されているはずだからです。
 だから、対策を考えるときに大事なことは、具体的な解決策まで行かなくてもいいから、対策の方向性を考えるということです。
 その方向性は、大きく分けて四つあります。それは、自主・民主・公開・発明です。

【2】
 では、一つずつ説明していきましょう。第一に、自主ということです。どのような問題も、当事者の自主性を発揮する方向で解決していかなくてはならないということです。
 例えば、発展途上国の貧困問題という課題で対策を考えてみましょう。
 グラミン銀行は、貧しい人たちに少額のお金を貸して、それらの人々が自立できるように助けることによって成功しました。単にものを恵むような援助では、貧しい人々は一時的にものを手に入れることはできるでしょうが、援助がなくなればまたすぐにもとの貧困に戻ってしまいます。このように、自主性を尊重する方向で対策を考えることが自主ということです。

【3】
 第二は、民主ということです。
 日本の近代化が成功したのは、全国的な学校教育制度が成功したからですが、ほかの国ではこのようにうまく行っていません。それは、日本の場合は、寺子屋のように民衆の側で既に教育を生活の中に取り入れるという民主的な土台があったからです。ものごとを進めるときに、つい手っ取り早く上から命令する形で改革を進めればうまく行くだろうと思ってしまいがちですが、実際には下から積み上げていくものがないと、うまく行かないことが多いのです。
 先のグラミン銀行では、お金を借りた人が何人かのグループになって、定期的に話し合いをする仕組みになっています。借りたお金はグループの連帯責任なので、グループの人どうしが互いに経営のアドバイスをして相互に助け合っています。上からの管理だけでは不十分なところを、民主的な話し合いの仕組みでカバーしているということです。

【4】
 第三は、公開です。
 公開の反対は、閉鎖です。例えば、途上国に対する援助が、しばしば役人のふところを潤すだけでおしまいになってしまうのは、援助の流れが隠されているためです。インターネットの普及によって、物事を隠して進めるというやり方は過去のものになりつつあります。企業の経営でも、アカウンタビリティ(説明責任)ということが重視されるようになってきました。昔風の考え方の人は、少数のメンバーだけでものごとを根回しで進めるというやり方を好むようですが、このようなやり方ではみんなの納得を得られにくくなっています。
 第四は、発明です。
 問題の解決を真面目に考える人ほど、現在の与えられた条件を絶対視して、その条件の範囲で、一方を伸ばすために他方を抑えるという発想をしがちです。例えば、お小遣いが毎月3000円と決まっているとしたら、その決まった額を前提として、今月は本を買いたいから、食事は我慢しようなどという発想になります。そういう発想をする人は、問題が起こったときに、我慢するとか禁止するとかいうことを先に考えてしまいます。例えば、携帯電話はほかの人に迷惑だから禁止しようなどという考え方です。もちろんそれも一つの方法ですが、根本的な解決法は、迷惑にならない携帯電話を開発するとか、迷惑でない方法を開発するとかいう発明の中にあるのです。
 以上、対策を考えるときには、自主・民主・公開・発明という言葉をつぶやいて、解決の方向を考えてみてください。