授業の渚 ra-05-4


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中3 5.4週

【1】
 今日は清書です。
 これまでに書いたもので、自分の気に入ったものをきれいに書き直してください。
 大事なことを三つ言います。
 第一は、要約は入れないか、自分なりの実例に書き換えるということです。
 第二は、項目のカッコ書きなども消しておくということです。
 第三は、名言の引用なども、できれば消しておくということです。
 つまり、普段の練習で◎がつくような書き方ではなく、作品としていいものを残すというような書き方にしてください。
 今日は、作品の中身のよさについての話を5つしましょう。
 それは、個性があること、挑戦があること、感動があること、共感があること、ユーモアがあること、です。
【2】
 第一は、個性です。
 体験実例を書くときに、自分しかしたことのないような実例を書いていくと、内容がよくなります。
 昔、ある子供が、忍者の本を読みました。そこには、干し飯(ほしいい・ほしい・糒・乾飯とも)と言って、ご飯を乾燥させて携帯用に持つ食料のことが載っていました。それで、自分でも干し飯を作ろうと思い、ご飯をお皿に薄く広げて、二階の屋根の上に置いておきました。夕方、できたかと思って見に行くと、二階にいた猫がおいしそうに食べていました。
 忍者の本を読むというのは、だれでもできます。しかし、そこから、自分でもそれを作ってみようと行動を起こす人はずっと少なくなります。そして、行動を起こすと、さまざまな予想外の出来事が起きてきます。この「行動とそれに伴う予想外の出来事」が個性の内容です。
【3】
 第二は、挑戦です。
 同じ体験実例でも、自分から進んでしたという体験は読み手をひきつけます。
 なぜかというと、人間はだれでもみんな弱いところがあり、不安や心配を持っているからです。この弱くて不安で心配なところがないと、人生はとても危険なものになります。例えば、ビルの屋上で逆立ちをするようなことを不安や心配なく平気でやれる人は、かなり危ない人です。そうならないように、人間には恐怖や不安や心配があるのです。
 しかし、この不安や心配があるために、なかなか新しいことにチャレンジできないのも事実です。「若いときの失敗は買ってでもせよ」という言葉がありますが、実は若いときにはそういうことがみんなできないから、そのような言葉があるのです。
 だから逆に、勇気のある行動や、あえて挑戦したという行動を見ると、それを聞いた人や見た人は感動するのです。

【4】
 第三は、感動です。
 自分が心から感動した話は、自然に読む人も感動させます。感動は、伝染するからです。感動のある実例をたくさん持っている人ほど、いい作文がかけます。
 第四は、共感です。
 人間には、みんな弱いところがあります。だから、挑戦が大事なのですが、逆にその弱さを正直に認めると、読む人は共感します。なぜかというと、弱さを正直に認めることは勇気のあることだからです。だから、逆に、同じ弱さを認めるのでも、「あ、おれ、どうせだめなんだ」という軽い認め方は、居直りと思われて、いい印象にはなりません。
 第五は、ユーモアです。
 面白い話、思わず微笑んでしまう話というのは、読み手の気持ちを明るくします。同じ実例を書くときでも、面白い実例があれば、そちらを先に書くようにしましょう。
 今日は、個性・挑戦・感動・共感・ユーモアの話をしましたが、この中でいちばん効果が高いのは挑戦です。毎日の生活の中で、もう一歩先に挑戦するように心掛けていってください。