授業の渚 ra-06-4


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ラ 森リンの点数アップ「難しい言葉を使う」

 森リンの得点の中に、重量語彙という点数があります。
 これは、作文の中にどれだけ難しい言葉が使われているかを表しています。
 文章は、読み手に理解してもらうためのものですから、易しい言葉で内容を伝えることが大事ですが、その前の段階として難しい言葉も書けるようにしておくというのが、この練習の意味です。
 同じ易しい文章を書くのでも、易しい言葉しか書けない人が書く文章と、難しい言葉でも書ける人が書く文章では、おのずから違ってきます。
 また、人間は、難しい文章に対しても恐れることなくばりばり読む力をつけておくことが必要です。例えば、新聞の文化欄には、よく社会や文化についてのコラムという囲み記事が載ります。このコラムから大学入試の国語の問題が出されることもよくあります。こういう欄を普通に読める力が、現代人に必要とされる基礎的な読解力です。ところが、こういう欄を、難しくて読めない、読んでもわからない、という人が世の中にはたくさんいます。
 難しいテーマを論じた文章を読めない人が、そのテーマについて自分の考えを文章で書くことはできません。難しいテーマでも自分の考えを書くことができる人が、その内容をできるだけ易しい文章でわかりやすく書くというのが文章の練習の究極の目標です。
 そのために、難しい言葉も自由に使えるということが大事になってくるのです。
 例えば、桃太郎の話をもとに考えてみましょう。
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 昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。そこは緑の山と青い川に囲まれた美しい村でしたが、同時にとても貧しい村でした。毎年のように鬼が作物を取っていくので、いつまでも貧しさから抜け出せなかったのです。
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 これは、昔話で子供向けに書かれたものですから、これ以上難しくする必要はありません。しかし、この最後の文を難しい言葉で書こうとすれば、次のように書くこともできます。
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毎年のように鬼が作物を強奪していくので、いつまでも貧困な生活から脱出することができなかったのです。
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 「貧困」のほかに「困窮」や「窮乏」などという言葉を使えば更に難しい書き方もできます。
 易しくわかりやすく書くために、難しい言葉も書けるようにしておくというのが、難しい言葉の練習の意義です。
 ただし、やたらに難しくすればいいというのではありません。他の語彙とのバランスで、難しい言葉がある割合以上に増えると、かえって読みにくい文章になります。適度な難しさということを心がけていきましょう。