読むスピードの速さと理解の深さは深い関連が

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書いた人はnaneさん 2001/05/31 10:54:49

コメント先: 読むスピードを速めるにはどうしたら( (森川林 さん) 2001/05/31 10:54:49:

読むスピードのおおまかな目安は小学生の場合学年の百倍程度と考えておくとよいと思います。小1=分速100字、小2=分速200字、……、小6〜社会人=分速600字です。大人が普通に読む本は大体1ページ600字程度ですから、おおまかに1ページを1分で読めればよいということになります。

 スピードを速めるためのコツは共通しています。「何しろ前へ」です。(笑)

 モトクロスなどのレースでも、速い人は、でこぼこを避けようとか、ころばないようにしようとかいうことは考えずに、何しろ前へ前へと全力で飛ばすのだそうです。

 読みの遅い人は、少し読んでから「あれ、前に書いてあったこと何だっけ」と数行戻って読み返すということがよくあります。これが読みを遅くする大きな原因です。受験用の国語の問題には、一度読んだだけでは意味がすぐにはつかめないような文章がよく使われます。いわゆる悪文です。これは中学受験に限らず大学受験の国語の問題でも小論文の問題でも同様です。

 特に大学受験の小論文の問題では、課題文全体の8割ぐらいまで読み進んでも全体の意味がよくつかめないという文章がしばしばあります。しかし、それでも読み進めていくと、最後の数行まで読んで初めて全体の内容が理解できるということがよくあります。このへんの事情がわかっている生徒は、途中で意味不明の箇所があっても気にせずにどんどん読み進んでいきますから、読むのが速くなるのです。

 書くことにもこれは当てはまります。書くことが遅い人は、書いている途中で、「前の文とのつながりはどうかなあ」と数行戻って読み返すことがよくあります。これが書くスピードを遅らせるいちばんの原因です。受験用の小論文では、制限時間がありますから、受験生の指導の場合は、生徒に「途中で消しゴムを使わない、途中で読み返さない、途中で考えない」と教えています。途中で書く方向がわからなくなったらメモを見てすぐ元に戻って書きつづけます。全体の4分の3ぐらいまではノンストップで飛ばして、結びの段落まで来たら初めて、読み返したり考えたりするようにします。

 読むスピードの速さと理解の深さは実は深い関連があります。一般に読むのが遅い人ほど理解が浅いという傾向があります。逆ではありません。ゆっくりじっくり一度だけ読むというのがいちばんよくない読み方です。実は自然にまかせていると、ほとんどの人がそういう読み方になります。よい読み方とは、鉛筆などで、自分がピンと来た箇所に傍線を引きながらすばやく最後まで読み、次にその傍線を引いた箇所を中心に何度も繰り返し読むという読み方です。「ピンと来た箇所」とは、自分なりに「おもしろいと思ったところ」「よくわかったところ」です。傍線を引く指導をするときに、先生によっては「大事だと思ったところに線を引きなさい」という説明をすることがありますが、もともと子供は何が大事かわからないで読んでいるのですから、こういう指導が有効なのはかなりレベルの高い子の場合だけです。塾によっては「『つまり』『だから』『要するに』などの接続語をカラーのペンで囲むとよい」などという指導をしているところもあります。これもわかりやすく有効な方法ですが、やや複雑で時間がかかります。

 一般に、ある文章が理解できるとは、その文章を構成している個々の文ABCDEが理解できて、その積み重ねが理解できるということではありません。まず全体が丸ごと理解できるというのが大事です。例えば、AとCとEの文がわかって全体が大体理解できたので、その間にあるBとDも理解できて、結局全体がよく理解できたということになります。ですから、傍線を引くのは、大事なところである必要はありません。自分の心にピンと来た箇所に線を引いておけばいいのです。だんだん慣れてくると、最初から大事な箇所に傍線を引くこともできるようになりますが、それはずっとあとの段階です。

 話は変わって、算数・数学の場合は、発想がやや異なります。AとCとEがわかったから全体がわかり、間のBとDがわかるというような分かり方ではありません。AがわかるからBがわかり、BがわかるからCがわかるというふうに進んでいきます。国語が得意で算数・数学が苦手な生徒は、この理詰めに考えるということが苦手で、文章を読むときのようにまず全体をイメージとしてとらえようとする傾向があります。だから、「4分の3個のリンゴを、3分の2人で分けると一人あたりいくつになるか」などという問題にぶつかると、3分の2人の人間が、4分の3個のリンゴを包丁で切り分けることをイメージしようとして何がなんだかわからなくなるのです。



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