Posted by 森川 林 on 12月 24, 1996 at 05:32:25:
これまでの作文指導の弱点は、内容を評価して、表現を
指導することが中心になっていたところにあります。
例えば、「もうちょっとおもしろいこと書けないかなあ。
あ、それから、ここの字とここの字がまちがっているから、
気をつけようね」
という感じです。
ですから、なまじ作文指導に熱心な先生に教えられると、
ひとにぎりの上手な子だけが作文好きになり、大多数の子は
作文が嫌いになるという現象が生じることが多かったのです。
理想的な作文指導は、内容を指導して、表現を評価すること
を中心にしています。
例えば、読書や経験を増やすことによって、書く内容を充実
させるとともに、作文の評価については、「たとえを使おう」とか
「そのときの会話を思い出してみよう」という具合に、
子ども自身が何を要求されているのかわかるような評価を
していくことです。
よく「もうちょっと、おもしろく」とか「もうちょっと、くわしく」とか
「もうちょっと、訴える力のある文を」などというわけのわからない評価をしている先生が、学校だけでなく、塾にも、予備校にも
たくさんいます。これでは、子どもたちがかわいそうです。
もっと、かわいそうな指導は、上手に書けた子の作文を見せて「みんなも、こういうふうに書きなさい」というものです。
たぶん、家庭でも、こういうアドバイスはよくされていると
思います。「もっと、○○ちゃんみたいに、上手に書いてごらん」
と言われて「よし、わかった。そうか、がんばるぞ」と思う子は、
ひとりもいません。
あと、もっとかわいそうなのは、子どもが「作文に書くことが
ない」と悩んでいるときに、しかりながら、「何言ってるの。
なんでもいいから楽しいことを書きなさい。楽しい話を
書かなかったらおこりますよ」と元気に励ましてしまうケース
です。こうなると、ほとんどギャグの世界ですが、実は、
これに似たようなことが意外に多いようです。