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言葉の森新聞2024年10月2週号 通算第1822号 (4264字) 言葉の森事務局(jun) 2024/10/09 11:29:51 16561   1     

言葉の森新聞2024年10月2週号 通算第1822号
文責 中根克明(森川林)


■■10月14日(月)は「休み宿題」

 カレンダーに記載してあるとおり、10月14日(月)は「休み宿題」となります。
 作文個別と作文クラスの生徒は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考に自宅でその週の課題を書いて提出してください。他の日に振替授業を受けることもできます。
「授業の渚」http://www.mori7.com/nagisa/index.php
「ヒントの池」http://www.mori7.com/mine/ike.php
 作文以外のクラスの生徒も他の日に振替授業を受けることができます。


■■ChatGPTは、ワンポイントのアドバイスをしてくれる超一流の家庭教師――特に、数学の苦手な子にとっては新しい勉強法になる

 中学生、高校生は、数学の勉強にChatGPTを活用しようという話です。

 ChatGPTは、自分専用の超一流の家庭教師です。
 どんなことでも、専門家として教えてくれます。
 しかも、夜中に突然質問をしても、同じことを何度も聞いても、初歩的すぎて人には聞けないようなことも、いつでも丁寧に返事をしてくれます。

 ChatGPTを使った勉強法は、まだあまり行われていません。
 しかし、数年後には、ChatGPT勉強法が主流になります。
 中学生以上のみなさんは、今からChatGPTを使った勉強に取り組んでいきましょう。


 最初は、自分(森川林)の体験から話をします。
 サーバーの障害と外部からの攻撃が重なって、言葉の森のホームページがなかなか開けない状態が続いていました。

 そこで、ChatGPTに原因になりそうなことを聞いてみました。
 すると、いろいろな原因の中に、データベースのクエリの中に重い動作をするものがあるということもありそうでした。

 そこで、ChatGPTに、動作の遅いクエリをどう探すのか聞いてみました。
 こういうことは、データベースの本を何冊か読まないとわからないことです。
 それを、ピンポイントで焦点を絞って教えてくれるのです。

 私は、このとき、ChatGPTの価値がよく理解できました。
 2日間ぐらいのChatGPTとの対話で、問題点がほぼわかったのです。


 もうひとつ、私の昔の話ですが、高校生のころ、数学の勉強をしてわからない問題があったときのことです。
 私は、そういうときは、その問題を考えながら、夜の街を何時間も歩くことにしていました。
 それで、わかるときもあるし、わからないときもありました。
 私は、高校生のころ数学は得意だったので、数学はそういう勉強をするものだと思っていました。

 しかし、これは、答えのある受験数学の勉強法としては、もっともよくない方法だったのです。
 ということが、今はわかります。

 わかるまで考えるというのは、答えのない数学に取り組むときの話です。
 それは、数学者の仕事です。
 受験の数学は、答えがあるのですから、考えるのは解法を理解するために考えるということでよかったのです。


 数学の苦手な子供に、どういう勉強をさせるかというと、わかるところまで戻って教えるというのが、これまでのオーソドックスな数学の勉強の仕方でした。
 しかし、これでは、成果が出るまでに時間がかかりすぎます。

 これからのいい勉強法は、できない問題があったときに、ピンポイントでChatGPTに解き方を聞くのです。
 それでわからなかったら、更に質問を続けてわかるまで聞けばいいのです。
 更に、その解き方を身につけるために、似た問題も作ってもらいます。

 同じような勉強法は、国語でも英語でも理科でも社会でもできますが、私は、数学の勉強に使うのが最も効果があると思います。


 ChatGPTの活用法は、まだあまり出ていませんが、これからいろいろな工夫が生まれてくると思います。

 中学生(13歳)以上の人は、自分のメールアドレスをGmailで作れます。
 13歳未満であっても、保護者の監督のもとに、生徒個人のメールアドレスを作ってもらうことができます。

 メールアドレスがあれば、ChatGPTのアカウントが無料で作れます。

 ChatGPTで、プログラムを作るというような「作る」作業をするには、月20ドル(約3000円)の有料アカウントが必要になりますが、それはそういう「作る」作業をしたくなってからでいいです。

 AIテクノロジーは、これから更に発展していきます。
 生徒のみなさんは、ぜひ、こういう新しい技術を早く使えるようにしていってください。


■■プログラミングの学習も、数学の学習も、どの教科の学習も、やがて山頂型学習になる――AI時代の教育は大きく変わる

 プログラミングの学習は、役に立ちます。

 特に、自分で新しく何かを始めようとする人にとっては、ある程度のプログラミングの知識技能は必要です。

 それは、自分で何かを始めようとする人にとって、車を運転できることがある程度必要であるのと似ています。

 ところが、プログラミング学習の難しいところは、積み重ね型の学習であるために、最初のころの知識の習得に時間がかかることです。
 見晴らしのいい尾根に上がるまでの間に、歩かなければならない単調なアプローチの距離がかなり長いのです。

 その対応策として、プログラミング学習の導入部分を、興味の持てるゲーム作りにしたり、ロボット作りにしたりという工夫が数多く生まれました。

 しかし、ビジュアルプログラミングで、自分なりのプログラミングを作れるようになった子も、その後、コードプログラミングに移行する段になると、その単調さに飽きてしまうことが多かったのです。

 ところが、この積み重ね型のプログラミング学習が、大きく変わる可能性が出てきました。
 それが、AIの活用です。


 プログラミングの学習と似た事情は、数学の学習についても言えます。
 子供がある時期に数学が苦手になると、それを得意教科にするまでがんばるということは、なかなかできなくなります。

 それは、数学が、典型的な積み重ね型の学習だからです。
 苦手になったときに、どこから手をつけていいかわからなくなるのです。

 積み重ねが必要だということは、多かれ少なかれ、どの教科の勉強にもあてはまります。

 しかし、それらが、AIの利用によって変わる可能性が出てきたのです。


 積み重ね型の学習に対して、正反対の学習を山頂型の学習と呼びたいと思います。

 スキーの練習のごく初期のころは、麓から山頂まで歩いて登る過程が必要でした。
 今は、リフトで山頂まで行けますが、リフトのない山には行くことができません。

 ところが、ヘリコプターで山頂まで行くという方法もあるのです。
 スタートが山頂で、そこからゆっくり麓まで降りていくというスキーの仕方です。


 プログラミングの学習における山頂とは、「こういうものを作りたい」というイメージです。
 数学の学習における山頂とは、「この問題を解きたい」という目標です。

 積み重ね型の発想をしているかぎり、そのイメージや目標を実現するためには、長い下積みの苦労をしなければならないというのがこれまでの考え方でした。

 しかし、AIを利用すれば、すぐに自分の望むプログラミングを作ってもらえます。
 数学でも、すぐに解き方を教えてくれます。

 そのあと、そのプログラミングの詳しい意味を聞いたり、数学の解き方の更に詳しい説明を聞いたりしていけばいいのです。

 聞くことにも、もちろん時間はかかります。
 しかし、下から登っていく苦労に比べたら、上から下へ降りる苦労は、比較にならないぐらい小さなものです。

 下から登るためには、麓を全部回る必要がありました。
 上から降りるには、必要なところだけ下っていけばいいのです。

 これが、山頂型学習の特徴です。


 AIの利用によって、これからの勉強の仕方は大きく変わります。

 AIは、答えを教えてくれるだけではありません。
 もし、自分の苦手な問題があれば、それと似た問題を何問も作ってもらうこともできます。

 英語の場合は、音声のやりとりもできるので、ヒアリングとスピーキングの勉強も同時にできます。
 AIと英会話で話をしたあと、自分の言った英文のどこを直したらいいかを聞けば、丁寧に教えてくれます。
 人間では、なかなかここまではできません。


 AIは、勉強のすべての分野をカバーしている、自分だけの超一流の家庭教師です。

 山頂学習ということで言えば、登りたい山の頂上にすぐに連れていってくれる空飛ぶ乗り物と言ってもいいでしょう。


 では、実際に、プログラミング学習がどういうかたちになるかというと、まず、生徒は、自分の作りたいものをChatGPTに作ってもらいます。

 すると、Pythonのプログラミングコードがわかります。
 勉強好きな子なら、そのコードを読むために、AIに更に質問をするか、又は、Pythonの勉強を始めるでしょう。

 この下り坂の勉強の仕方は、自分のしたかったことと結びついています。
 ゲーム作りやロボット作りから、コードプログラミングに移り、長い登り坂を経て尾根に上がる勉強よりもずっと楽にできます。

 しかし、そういうプログラミングの勉強をわざわざ始めなくても問題はありません。

 こういう命令をしたら、こういうものができたから、次は、どういう命令をしてみようかと考えるようになればいいのです。

 ちょうど、Midjourneyなどの画像作成ソフトの使い方と同じです。
 言葉による入力と、画像による出力との間のブラックボックスがどうなっているかは誰にもわかりません。
 作った人自身がわからないのが、深層学習の特徴です。

 だから、わかることよりも、使えることが大事になるのです。


 AIの活用に伴って、勉強のスタイルも変わってきます。
 これまでは、答えのある知識を吸収することと中心に勉強が組み立てられてきました。
 そのわかりやすい表現が、テストや宿題や点数や成績でした。

 これからの勉強は、吸収するだけの勉強ではありません。
 これからの勉強は、創造し発表することが中心の勉強になるのです。


 言葉の森が今考えているのは、データベースとChatGPTを組み合わせ、山頂型学習で学力を身につけ、創造発表教育で、勉強の方向を吸収から創造と発表へと発展させる教育です。

 これから、新しい勉強法を作っていきたいと思います。



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