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オープンの川


春講創造発表クラスの3/27の長文 (10290字) 森川林(nane) 2023/03/26 17:06:03 14627

■わずか一粒の種から(me2-1.4週の長文から)

 【1】わずか一つぶの種から一万個以上もの実をつけたトマトの巨木きょぼくがある。遺伝子組み換えく か などの新しい技術により、このようなトマトができたのかと想像されるかもしれないが、そうではない。
 このトマトは、一本の根幹から何千もの枝が分かれて、トマトの実を結ぶ。【2】最も多いときで、一万個以上が実るというから確かにすごい。その秘密は、太陽の光と、水と空気の恵みめぐ 充分じゅうぶんに受けて土なしで育てるところにある。水中の養分を補えば、根の部分は水中に浸しひた ておくだけで栽培さいばいできるのである。
 【3】つまり、植物がその成長能力を最大限に発揮する上で、土は不要ということなのだ。
 むしろ、土に根を生やしているがために、潜在せんざい的な成長能力は一定に押さえつけお    られている。一万個も実をつけるトマトは、実際、土とは無縁むえんである。【4】これが、植物の成長にとって理想的な環境かんきょうだというのである。
 将来、人類が地球を出て、宇宙で生活するためには、このような栽培さいばい法が、どうしても必要となる。この巨大きょだいなトマトの木は、生き物にはまだまだ私たちの知らない、無限とも言える可能性が秘められていることを、見事に示した。
 【5】一方、科学用語のひとつに、「最適規模・最適値」という言葉がある。ある環境かんきょうの中の最適な数や量のことで、自然界は、非常にうまくこの最適規模を守っている。(中略)
 この観点からすると、一つぶの種から一万個も実をつけるのは本当に良いことなのか。
 【6】個別にその植物だけを取り出して考えると、問題は解きほぐせない。大地、植物、光、水、大気という自然界全体の成り立ちを視野におさめて、初めてひとつの答えが導き出される。
 【7】植物は、大地に根を生やし、成長して実をつける。その樹液や花のみつ、木の実などを食べて生きる虫や小動物がいる。それを食べる動物もいる。死んだ動物は土にもどり、微生物びせいぶつによって分解され、植物の養分となる。【8】こうして巧みたく 循環じゅんかんがなされているからこそ、自然界は過不足なく成り立つのであって、何処かの連鎖れんさが断たれると、問題が生じる。
 木を切りすぎると動物もいなくなり、大地は枯渇こかつして砂漠さばく化す∵る。一つぶの種だけが無際限に繁殖はんしょくすると、全体が危機に瀕するひん  
 【9】このように見てくると、普通ふつうのトマトが、一つぶの種から一万個も実をつけないのは、土によって本来の成長をじゃまされているのではなく、生態系全体の中での適正な成長規模を守っているからだとも考えられよう。【0】
 遺伝子情報としては、一万個を実らせる能力を書き込まか こ れているのだろうが、ぎりぎりまで発現させることは通常ないのである。
 複雑な生命体は、私たちの想像を超えるこ  潜在せんざい能力を持っているとみてよい。しかし、生物相互そうごのかかわり合い、生物と自然とのかかわり合いの中で、能力の発現は一定に保たれる。つまり、生態系という高いレベルの有機的な秩序ちつじょが保たれていくために、最適値がある。
 この生物の中に人類も含まふく れる。科学・技術を発達させ、際限なく生産の拡大を図るだけでは、人類はいつか行き詰るい づま 。そして、次の世代に大きな負の遺産を残すことになる。
 人間は、限度を超えこ て物が増えた分だけ、心が貧しくなり、寂しくさび  なっていくのではないか。それを解決するには、人間の慎みつつし が必要である。
 先ごろ、ノーベル平和賞を受賞したケニアの女性環境かんきょう保護活動家ワンガリ・マータイさんが、日本語の「もったいない」をエコロジーの言葉「モッタイナイ」として世界に紹介しょうかいしたように、「慎みつつし 」も新時代の人間の生き方を表す世界の共通語「ツツシミ」となるよう広く伝えていきたいものである。
 「モッタイナイ」は単に物を節約することではないし、「ツツシミ」は欲望を消極的に抑えるおさ  ことではないだろう。
 この言葉の背後には、人類を含めふく た生物が、大自然の偉大いだいな力「サムシング・グレート」により生かされているということに対する感謝の気持ちが込めこ られている。

村上むらかみ和雄かずおの文章による)


■メタバースは脳化社会の到達点 養老孟司(文藝春秋オピニオン 2023年の論点100から)

 メタバースと聞くと革命的な未来世界を想い描く人が多いらしい。でもテレビからパソコンやスマホへと移り変わったのと似たようなことで、とくに革命的な変化が生じるわけではなく、その意味では過去の延長になる。
 テレビが徹底的に普及して日常生活がテレビ漬けになった時代に育った子どもたちが大学生となり、その連中を教えていた私は、「しらけ世代」という言葉を知って、なるほどと思ったものである。子どもたちが夢中になって見ているテレビの中の世界は、脚本の都合によってのみ進行してしまう。主人公が危険な目に遭っていても、そこにはどうにも手が出せない。自分のすることは、どんなに頑張っても、その世界になんの影響も与えない。つまり自分には関係のないこととして、「しらける」しかない。次の世代でゲームが大流行したときに、そりゃ当然だと感じた。テレビでただ見ていた世界にやっと「自分の手が出せる」状況が来たからである。
 メタバースはいわばその完成形で「手を出す」どころか、丸ごとテレビの世界に入ってしまうんだから、完成形というしかあるまい。これこそ脳化社会の到達点であろう。
 私が研究者になりたてのころ、大学に動物実験棟ができた。私の研究室にはまだエアコンがないのに、動物実験棟は冷暖房完備、餌と水は常時供給される。私はへそ曲がりだから、そんなところに飼われているものは動物じゃないと真剣に思って、自分の研究対象を野生の動物に変えた。現代の実験研究者として挫折のはじまりである。
 テレビがテレビゲームになり、次にメタバースになるのは必然であろう。なにをいまさら、という感がないではない。いわゆる現実の世界とメタバース世界の違いはなにか。落合陽一流に言えば、質量のある世界とない世界であろう。質量による制限を取っ払った世界、それは意識が理想とする世界である。
 そこに入ったヒトは動物実験棟の実験動物と同じである。意識的にコントロールされた環境で、「自由に」さまざまな行動をする。メタバースの世界は行動心理学者の理想の世界でもある。頭の中でなにを考えていようが、特定の条件下で特定の行動が起きるとわかればいいからである。メタバースは、ヒトの世界をコントロールしようとする人たちにとって、最高のデータを供給することになろう。いまのビッグ・データも使えないではないないが、厳密性が不十分なのである。ただしこれはメタバースの悪用の典型だと私は思う。メタバースは実用に使ってはいけないのである。文学や芸術と同じジャンルに属するものだと私は信じるからである。
 質量のある世界にはたとえば重力定数のような制限が存在する。メタバースであれば、定数の値をどうにでも定められる。簡単に月世界に行けるのである。
 現在メタバースを制約しているのは、質量のある世界、つまりハードである。現在の機械はまだ無細工で重いし、扱いにくい。これが軽量化して、現在のスマホ程度のものになるなら、メタバースは世界を席巻するはずである。好むと好まざるとにかかわらず、世界がメタバースに向かっていくのは、さまざまな意味で必然であろう。人類の歴史観を変える
 私自身がメタバースに関わろうと思ったのは、未来と同時に過去を考えたからである。老人なら当然のことである。十月にはラオスの森を取材したが、現在の自然破壊はとどまる所を知らない。ラオスの森もいつ消えてなくなるか、知れたものではない。その保全を叫んだところで、だれも聞いてくれるはずがない。自然破壊の根源はもっと深い所にあるからである。それならその記録を一部なりとも後世に残したい。百年後にラオスの森を散策出来たら、後世に対するよい贈り物にならないか。
 メタバースでお爺ちゃんが孫と一緒に近所を散歩する。二人が見る風景は、お爺ちゃんがかつて見たものである。いまはすっかり変わってしまったとしても。こうした試みが進めば、人類の歴史観がやがて変わるであろう。歴史を作っていくのは、常人の日常であり、政治家や大先生の作為ではない。日常の積み重なりが歴史の必然を作る。
 このようにメタバースは単に未来を拓く存在というだけではない。現に我々がやっていることを、違う視点から見直させてくれる。私は世界をより深く理解させてくれるものとして、哲学や科学ではなくメタバースに期待している。したがって、これがなんらかの「実用」に使われることを警戒している。当初は金になるからやる、という傾向が出ることは当然予期できる。やがて問題点が頻出するであろうという予測もできる。その意味で現在の文学や芸術と似たような地位に置かれることが望ましい。どちらも人と世界を変える力をもってきたが、それが本来ではなかった。むしろただひたすら人生を豊かにしてきたのである。どの分野もそこに集中して生きる人がいるが、やがてメタバースもそうなるに違いない。
 スマホのように使える簡易なハードの実用化はここ二、三年のうちだと言われている。とはいえそれは私にはわからない分野である。どうせそうなるだろうと勝手に考えている。これは期待というより必然であって、いうなれば、そうなるに決まっているからである。
 文学も芸術も、金にならないわけではない。しかしそれはあくまでも結果としてであって、本来はお金が目的ではないのは当然のことである。メタバースに関して、いまなにか言うとしたら、言いたいことはそれだけである。

■中露モスクワ会談の意味 2023年3月23日   田中 宇

中国の習近平主席のロシア訪問が終わった(3月20-22日)。マスコミは中露敵視・中露結束軽視の歪曲報道ばかりだ。対照的にオルトメディアは、この訪露による中露の結束強化が、中国とロシア、それから非米側諸国にとって重要であると指摘している。ウクライナ戦争だけでなく、米覇権の崩壊と多極化という大きな流れの全体にとって大事な転換点になりそうだ。しかし、何がどう重要なのだろうか。オルトメディアを読んでも、今のところまだ明確な分析に出会っていない。自分で考えてみる。 (China Gives US Advice On Ukraine After Xi, Putin Pledge To Shape New World Order) (Joint Russo-Chinese Statement: US Biowarfare Activities, AUKUS Submarines & Prospects of Nuclear War)

私が最も注目したのは、習近平が訪露に際して発表した12項目の姿勢表明書(ポジションペーパー)だ。これは、ウクライナ戦争と今後の世界がどうあるべきかについての中国の考え方を書いた条文だ。そしてその1番は、全ての国家の主権や領土を尊重すべきで、国連憲章など国際法も遵守されるべき。2番は、(NATOに代表される)冷戦思考を捨てよ。自国の安全を守るために他国を犠牲にしたり、軍事ブロックを作るな。(露敵視のNATOに替わる)バランスのとれた欧州の安保組織の構築を支援する。(NATOと中露が対立するのでなく欧州と中露が)協力してユーラシアの平和と安定を維持すべき・・・、となっている。 (China’s Position on the Political Settlement of the Ukraine Crisis) (Full text: China’s position on settling the Ukraine Crisis)

3番から12番はウクライナ戦争の和平策についてだが、他の国際紛争の解決にも使える内容が多い。中でも10番は(米国側による対露制裁など米国が発する)国連安保理の決議に基づかない経済制裁をやめるべきだ、と言っている。これらの内容から感じ取れるのは、中国がこれから米覇権に代わる多極型世界の主導役になっても、中国自身が昔から言っていた「国連が目指してきた国家主権重視・協調重視・覇権の機関化」を推進する姿勢を変えないだろうということだ。中国は「中露が米国に取って代わるだけの覇権交代」をやろうとしていない。そうではなくて中国は、ロックフェラーなど米資本家らが2度の大戦で大英帝国から覇権を移譲されて作った国連中心の世界体制を70年ぶりに蘇生しようとしている。 (Xi-Putin Meeting Marks Tectonic Geopolitical Shift Which West Not Ready for)

国連中心の世界体制は、英国が軍産複合体を作って起こした冷戦によって分裂させられて機能不全になった。国連を作った米上層部の勢力は「軍産のふりをした隠れ多極主義者」となって米中枢に存在し続け、ベトナムやイラクやウクライナの戦争をわざと過激化して大失敗させて米覇権を浪費し、代わりに中露が台頭してBRICSや上海機構など多極型の覇権構造を作って米覇権の自滅後に代替する流れを誘導した。そして今、米欧が金融崩壊してドルの基軸性が失われていきそうな中で、実際に中露主導の非米的・多極型の世界が立ち上がってきている。今回の習近平の訪露は、その立ち上がりを象徴する出来事だ。中露の政府は最近、多極化とか多極型世界といった言葉を頻繁に使うようになっている。習近平の訪露の主眼は、中露結束による世界多極化推進・多極型世界の構築の加速であろう。 (Russia-China ties have no limitations - Putin) (Xi Jinping sees ‘irreversible’ shift to multipolar world)

中国は、75年前の国連の創設で最も得をした国だ。安保理常任理事国(P5)になることが内定した1943年当時の中国は、何十年も日本など列強に蹂躙された挙げ句、国共内戦も起きて国家の体をなしていなかった。P5のメンバーを決めるカイロ会談に招待された中国(中華民国)の蒋介石主席は当時、日本に追い詰められて山奥の四川省に逃げ込んでいたゲリラ勢力の頭目に過ぎなかった。米国が、そんな中国を世界の5大国の一つに引っ張り上げた。 (米国の多極側に引っ張り上げられた中共の70年)

そのような歴史を見ると、国連主導の多極体制(覇権の機関化)を中国が切望するのは当然だ。中国だけでなく、米国以外の多くの諸国が、国際紛争を仲裁する時に「国連憲章の精神に沿って」と言っているが、口だけだったりする。中国だって口だけだろうと、軍産うっかり傀儡の人々(軽信がひどくて頓珍漢な中露敵視に陥っている左翼リベラルとか)は言いそうだ。しかし、中国と国連の歴史的な関係を見れば、米国の覇権が崩壊したら国連主導の多極体制を作りたいと中国が考えて当然なことがわかる。 (中国が好む多極・多重型覇権) (Russia-China ties have no limitations - Putin)

習近平は昨秋の共産党大会で国内の独裁体制を固めた後、外交大国になる道を猛然と走り出し、非米側の金資源本位制を強化するために大産油国であるサウジとイランの和解を仲裁し、それが終わるとすぐにロシアを訪問してプーチンと多極型の世界運営について話した。今回の習近平の訪露自体が、中国がロシアと共同で米覇権崩壊後の世界を作っていこうとしていることを示しており、多極型を志向する中国の姿勢を表している。多極体制は、中国(など非米諸国)を大きく安定・発展させる。中国は今、ロックフェラーら国連創設者たちに75年ぶりに「恩返し」している。番頭のキッシンジャーも(表向き別なことを言いつつ実は)ご満悦だ。 (Here's why Xi's Moscow visit is a key moment in the struggle to end US hegemony)

中国のウクライナ和平提案に対し、米国は「中国はロシアのプロパガンダをオウム返しにしているだけであり、信頼できる仲裁者でない」と一蹴している。米欧は中国の和平案を無視して、追加の兵器弾薬をウクライナに送る戦争扇動策を決めている。だが対照的にウクライナのゼレンスキーは、中国の和平提案を歓迎し、習近平とバーチャル対談したいと言い続けている。ゼレンスキーは米英の傀儡でなかったのか??。よく見ると、米国は中国提案に反対しているが妨害しておらず、ウクライナが中国と話し合うことを黙認している(隠れ多極主義的)。欧米がウクライナを軍事支援できなくなったら、ウクライナは中国の和平仲裁に頼るしかなくなる。ゼレンスキーはそのへんを見越している。 (ZH Geopolitical Week Ahead: Ukraine Validates China As Future Peace-Broker While US Left Behind) (Ukraine afraid to criticize China - Politico)

中国はイランとサウジの和解を成功させ、ウクライナの仲裁を提案して、短期間で外交大国にのし上がった。12項目のウクライナ和解提案は、他の地域の紛争解決の原則として使える。ロシアも同期してシリア内戦の終結処理(トルコとアサドの和解仲裁、アラブとアサドの和解支援など)を進めている。中露は、共同でアフリカの安定化策も手がけ、これまでアフリカに覇権下に入れて混乱させるだけだった米仏の影響力を排除している。中露は、米国側が起こした世界各地の戦争を停戦させ、米国流の不安定化策を無効にする策を大々的にやり始めている。 (Putin makes prediction about Africa) (The battle for African hearts and minds: Here's why the West is upset about Russia's growing influence on the continent)

非米諸国は、これまで米国に逆らったら孤立化・経済制裁・政権転覆されて潰されだけだったが、今後は中露に頼って米国からの敵対に対抗し続けるようになる。これまで黙って不本意に対米従属してきた非米側の諸国が、中露の側について対米自立して非米型の新世界秩序に参加していく傾向になる。最近インドやブラジル、南アフリカといった大国群や、トルコやベトナムといった中規模諸国が米国側から非米側への移転を加速している。先進諸国、とくに敗戦後に米英から徹底的に洗脳された日独は、米諜報界による情報歪曲を軽信し続けているので、今の中露による多極化の動きを認識できず、米覇権とともに沈没しつつあるが、途上諸国や新興諸国はもっと非米的な傾向が強いので多極化の流れをつかんでいる。 (Why the West’s standoff with Russia and China is a big opportunity for the world’s second-tier powers) (Geopolitical Rumblings Leave U.S. Behind)

今回の中露首脳会談でプーチンは、ロシアとアジア・アフリカ・中南米との貿易の決済通貨として、ルーブルと相手国通貨のほかに人民元を加えることを習近平に伝えた。これは、基軸通貨としてのドルの地位が失われた後を見据えてに立ち上がりつつある多極型の複数基軸通貨体制の中で、中国の人民元が頭一つ抜き出た地位につくことをロシアが認めたことを示している。 (Putin To Xi: "We Support Chinese Yuan Use With Asia, Africa, Latin America") (Russia ready to switch to yuan in foreign trade - Putin)

ウクライナの和平を提案した中国と対照的に、G7など米国側はウクライナの戦争を続ける姿勢をとり続けている。5月の広島でのG7サミットでは対露制裁とウクライナ戦争支援の強化を決める予定で、その下準備として、G7議長である日本の岸田首相が米国から加圧(命令?)されて3月21日にウクライナを訪問した。米国としては、日本を中国のライバルとして外交戦をさせるために、習近平の訪露と重なる日程で岸田をウクライナに行かせた観がある。 (China gives US advice on Ukraine)

習近平の訪露、岸田のウクライナ訪問と同期して、米欧の金融や経済の崩壊傾向が続いている。クレディスイスがUBSに買収されて劇的な危機加速が回避されたが、最終的な金融崩壊は先送りされただけだ。米銀行界は連銀(FRB)からの資金注入がないと破綻への流れが再燃する。米金融システムは1-2年以内に全崩壊していきそうだ。金融が破綻したら米覇権も終わり、非米的で多極型の世界が席巻する。米国と傀儡諸国で構成するG7やNATOは無意味・機能停止する。米覇権が崩壊していくのだから、日本が米国の傀儡として中国と対抗したら必ず負ける。 (The Comex Is In Far Worse Shape Than SVB If The Run On Physical Accelerates)

米国の衰退と中国の台頭を予見して中国に接近した故・安倍晋三の姿勢を踏襲している岸田文雄としては、米国の傀儡として中国と対決させられるのは不本意だ(威勢の良い報道と裏腹に)。できればやりたくないが、米国の命令だから逆らえない。日本や英独仏豪など先進諸国は、米覇権の崩壊が不可避なのに、米国と一緒に沈没・無理心中させられる。途上諸国や新興諸国はうまいこと非米化の流れに乗るのに、先進諸国は米国に隠然支配されているので逃げられない。逃げられないから、米国と一緒に中露を敵視し続け、ウクライナ和平を拒否して戦争し続けるしかない。ウクライナはしばらく和平にならない。ウクライナが和平する時は、いずれ金融崩壊が加速し、米覇権が崩壊して米国側が機能不全に陥った後だ。 (18 European Countries Sign Joint Ammunition Donation For Ukraine)

米国の金融崩壊はたぶん意外と近い。それと連動して、欧州のエリート支配体制が崩壊して右派ポピュリストの政権になっていき、欧州が対米従属を離脱して中露と和解する転換点も、意外と早く来るかもしれない。フランスはゼネストや反政府運動が続いている。ドイツにもゼネストが波及している。事態がどんどん展開しているので、追いつくのがやっとで毎回雑駁にしか書けない。似たような筋書きの話を何度も書くことになる。 (European Spring? Germany Braces For Major Strikes While France Burns) (Von Greyerz Warns "The Financial System Is Terminally Broken")

英国は、戦車の弾として劣化ウラン弾をウクライナに送ることにした。米NATOはコソボやイラクでも劣化ウラン弾を使って問題になった。英政府は「劣化ウラン弾は危険でない」と言っているが、少し前まで米英マスコミは「ロシア軍が劣化ウラン弾を使ってウクライナ人を放射能汚染している」とウソを喧伝していた(ソ連軍は劣化ウラン弾を持っていたが、ロシアは2000年までにそれらを処分し、その後は使っていない)。米英マスコミ自身が、劣化ウラン弾は戦争犯罪の道具であることを認めたことになる。G7サミットは、米国に原爆を落とされたヒロシマで行う。二度と核物質を戦争に使ってはならないと、日本人は80年近く祈ってきた。その象徴が広島だ。それなのに、核物質で戦争犯罪の道具である劣化ウラン弾を使うウクライナ戦争の支援を、G7サミットが広島で高らかに宣言する。ウクライナ(今はもうロシアに編入)のロシア系住民が劣化ウラン弾の標的にされることをマスコミは言わない。 (Why is Britain’s Uranium Ammo Decision a Big Deal?) (UK to Give Ukraine Depleted Uranium Shells Despite Russian Warnings)



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