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言葉の森オンライン新聞
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言葉の森新聞2024年3月3週号 通算第1795号 (7835字) 言葉の森事務局(jun) 2024/03/15 11:18:27 15902   5     

言葉の森新聞2024年3月3週号 通算第1795号
文責 中根克明(森川林)

■■3月20日(水)は「休み宿題」

 カレンダーに記載してあるとおり、3月20日(水)は「休み宿題」となります。
 作文個別と作文クラスの生徒は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考に自宅でその週の課題を書いて提出してください。他の日に振替授業を受けることもできます。
「授業の渚」http://www.mori7.com/nagisa/index.php
「ヒントの池」http://www.mori7.com/mine/ike.php
 作文以外のクラスの生徒も他の日に振替授業を受けることができます。


■■【合格速報】

●東京大学理科三類・慶應大学医学部  K.T.さん

<担当講師より>
 小学校低学年から長く続けてくれた生徒です。
 医学部に進学しますが、歴史にも詳しく、作文も得意で、毎回、くわしい歴史実例を入れながら素晴らしい作文を仕上げていました。
 これからもますますがんばってくれることと思います。
 合格おめでとうございます!


●明治大学法学部・中央大学法学部・立教大学法学部・上智大学法学部  T.K.さん

<保護者様より>
 K先生、ありがとうございます。
 言葉の森では、三名の先生に長くお世話になりました。今思えば、聞いた話のところで話をするのが、親としては楽しくいい時期だったなぁと思います。少し前に小学生の頃の作文を見返したところ、こんな話をしていたか…と自分でもおかしく、笑ったり泣いたりでした。読解力も書く力も言葉の森で身につけることができました。おかげ様で、進学先が決まりホッとしております。本人は、今は小中学生の頃に戻り、ハリーポッターを夢中でハイペースで読んでおります。速読力も身についたかもしれません(笑)

<担当講師より>
 Kさん ずっと作文を頑張ってこられました。私が最後の担当で、受験勉強に専念されるため言葉の森を卒業されていました。
 思えば、中高一貫の難関校に挑んだときも、言葉の森におられました。努力家で、強い気持ちをもつKさんの新しいスタートをお祝いします。おめでとうございます!


●栃木県立宇都宮高校 I.T.さん

<担当講師より>
 受験コースでは、自分の書きたいことを限られた字数で表現する力がつきました。受験日の3月を迎えるまで、一生懸命頑張りました。合格、おめでとうございます!

<担当講師より>
 おめでとう!
 受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読んでいました。
 受験が終わったら、しばらくゲームで遊んで(笑)、それから高校生活の作戦を決めるといいと思います。


■■大学入試が終わり、晴れて大学生になったみなさんに。大学生時代は、学問とビジネスと出会いの時代。

 早い人は、小学生時代からの長かった勉強が終わり、やっと大学というゴールに入ったことで一安心していると思います。

 でも、その安心の気持ちは、1週間ぐらいで切り替えて、新しい挑戦に向かっていくことが大事です。

 挑戦のひとつは、学問です。
 大学生時代は、時間がたっぷりあります。
 普通に勉強していれば、単位を落とすようなことはまずありません。
 大学での勉強は、普通にやっておけばいいのですから、もっと大事な本当の学問をすることです。

 本当の学問とは、難しい本を読むことです。
 高校時代の倫理や政経や歴史の教科書に載っていた名前だけは知っている本を読んでいくことです。

 私(森川林)が、大学生時代に読んで印象に残っている本は、
「ヘーゲルの精神現象学」(ヘーゲル)
(その解説書「ヘーゲル精神現象学の生成と構造」(イポリット))
「存在と無」(サルトル)
「雇用利子貨幣の一般理論」(ケインズ)
「葉隠」(山本常朝)
「成功の実現」(中村天風)
などです。
 教科書に載っていない本や、難しくない本もありますが(笑)。


 岩波文庫の青帯、白帯は、かなり時代が古いですが、世界の古典が載っています。
 こういう本は、大学生時代以外は読めません。
 社会人になったら、そんなまだるっこしい本は読んでいられないからです。
 しかし、若いときに読んだ難しい本は、自分の考え方の骨格を形成します。
 だから、大学生になったら、まず難しい本を読むことです。


 もうひとつの挑戦は、広い意味でのビジネスです。
 新しい仕事を自分で作り出していくことです。
 もちろん、学生時代にやる仕事ですから、本格的なものではありません。

 また、大学生のときに始めるような仕事は、たかが知れています。
 誰もが考えつくようなことをやるのがせいぜいです。

 しかし、物事のスタートは、みんなそうです。
 その誰もが考えつくような仕事であっても、40代や50代になってから始めるのでは遅すぎます。
 失敗しても、何度でも再チャレンジできる20代でやっていくのがいいのです。
 そのチャレンジが、将来の仕事に結びつくことはたぶんありません。
 しかし、チャレンジしたということが、必ずあとで生きてきます。
 それは、チャレンジすることを恐れないようになるからです。


 3つ目の挑戦は、サークル活動に参加することです。
 大学生時代は、出会いの場が豊富にあります。
 大学での勉強だけをするのではなく、いろいろな人と出会う場を自分で見つけていくことです。

 ただし、政党や宗教と結びついたサークルには参加しないことです。
 そのためには、信頼できる先輩に聞いてみることです。
 ネットで調べるだけでもかなりわかります。
 大学生時代は、勉強力以外に、調査力も必要になるのです。

 しかし、今は、そういう政治や宗教と結びついた団体はあまりないと思います。
 たとえそういうところに入ったとしても、すべていい経験だと思えばいいのです。


 大学生のみなさんは、新しい環境にどう取り組んでいくかということを、入学前に考えておくといいと思います。


■■受験作文と入試小論文の未来の姿。学力の中心は、考える力と創造する力になる。進んだ学校では、AI技術によって作文や面接を評価するようになる。しかし、その先の未来は、入試自体がなくなる可能性

 公立中高一貫校の受験作文の課題は、昔は牧歌的なものでした。
 「小学校時代の思い出」というような誰もが書ける課題が出されていたのです。

 しかし、こういう課題は、事前の準備ができれば、誰でも上手に書くことができます。
 そのため、次第に、文章を読ませてその感想を書かせるようなかたちの作文課題になりました。

 しかも、複数の文章を読ませて、その共通性の面から感想を書かせるような凝った課題を出すようところが増えてきたのです。

 この理由の第一は、採点が大変だったからです(笑)。
 易しい課題で合格圏内にある作文をすべて読むというのでは、採点者の負担が大きすぎます。
 そこで、難しい課題で、一応時間内に規定の字数まで書けた作文に絞って、採点をするという試験の方法になったのです。


 かなり昔、東大と京大が、学部によってですが、入試に小論文の課題を出した時期がありました。
 それらの問題は、かなりいい問題だと評判がよかったのですが、やがてその入試はなくなりました。
 理由のひとつは、問題を作るのが大変だったからです。
 もうひとつの理由は、やはり採点が大変だったからです。


 採点の負担を解決する方法は簡単です。
 文章の自動採点を導入すればよいのです。
 そうすれば、問題の作成も、それほど凝る必要はなくなります。

 現在、ChatGPTは、文章を要約することも、簡単なメモを文章化することも、長い文章を短くすることも、長くすることも、日本語で書くことも、英語で書くことも、関西弁で書くことも自由にできます。
 このAI技術を応用すれば、文章の採点はすぐにできます。
 その方法は、こうです。

 作文には、小学生の書いたものから、中学生の書いたもの、高校生の書いたもの、大学生の書いたものなどいろいろな年齢の生徒が書いたものがデータとして多数あります。
 それらを読み取って、その作文が、何年生ぐらいの生徒が書いたものかを推測させればいいのです。
 すると、大学入試の作文でも、中学生レベルのものから、高校生レベルのものや、とっくに大学生レベルになっているものまで幅広くあることがわかります。

 ただし、こういう評価をするためには、作文の字数は1200字以上であることが必要です。
 字数が短いと、誤差が大きくなるからです。
 また、できれば、1本の作文ではなく、数本の作文を書かせる必要があります。

 書く生徒は大変ですが(^^ゞ、採点する方はAIですから、一瞬にしてできます。


 この試験を実施するためには、手書きOCRの機能はまだ不十分でしょうから、試験会場ではポメラのような端末を配備して、全員が一斉に作文のテキスト入力をする必要があります。

 いずれ、大学入試では、こういうデジタル作文試験が導入されるようになると思います。
 高校入試や中学入試でも、できないことはありません。


 更に先のことを考えると、口頭試問もAIで評価することができます。
 AIで、大体の基準以上になった人だけを、人間が実際に作文を読んだり、面接をしたりすればいいのです。


 しかし、更に先のことを考えると、そのうちに、入試で生徒を採点すること自体が必要でなくなります。
 それは、将来の学校は、オンライン化するからです。

 現在、入試があるのは、リアルな学校に入ろうとするからで、リアルな学校には決まった数の座席しかないからです。
 その座席の数に合わせて入試が行われています。

 しかし、オンラインであれば、デジタルの座席の枠に制限はありません。
 学生どうしの交流の場としては、時どき遠足やサマーキャンプを行えばいいのです。
 これが、大学の人気を最も左右するイベントになるかもしれません。

 オンライン化された学校では、国境はありません。
 Zoomの授業でも、翻訳機能を使えば、どの国の人でも参加できます。
 遠足やサマーキャンプのリアルな交流の場では、ポケトークのようなものを使えばいいのです。
 こういう機器は、今後もっと進化してウェアラブルになり、使用している感覚がなくなります。

 リアルな海外留学というのは、そのうちに死語になります。
 そのかわり、リアルな海外遠足や海外合宿が普通になってくると思います。


 以上、だいぶ先のことまで書きましたが、大事なことは、これからの勉強は、知識の詰め込みと再現ではなく、考える力が中心になるということです。
 更に、考える力に創造力の加わったものが、本当の学力になるということです。

 今、小中高生と保護者のみなさんは、そういう未来の姿を想定して、子供の教育を、考える力と創造する力を育てる方向に向けていくことが大事になっていると思います。


※意見文の書き方の記事を書こうとしましたが、その前提として受験作文の話を書いたら、それだけが長くなってしまいました。
 意見文の書き方については、次回の記事に載せます。


■■中学生、高校生の意見文の書き方。小学6年生が作文指導のゴールになっていては、小学6年生も十分には教えられない。中学受験作文に対応するには、意見文を書くという先の見通しが必要

 作文の学習が、本格的に考える勉強になるのは、中学1年生からです。

 小学6年生でも、結びの感想の部分を一般化の主題として大きく考えるという課題はありますが、まだ本格的なものではありません。
 小学生の作文は、題材(実例)が中心になるので、感想はまだ脇役なのです。

 しかし、中学生や高校生の指導に進む見通しがあって初めて、小学6年生の指導も充実した教え方ができます。


 近年の中学受験の作文では、入試の作文課題で、意見文を書かせるところも出てきました。
 例えば、あるテーマについて自分の意見を書き、その理由を書き、その理由の裏付けとなる体験実例を書くというような書き方です。


 意見の書き方は、大きく分けて3つあります。

 第一は、良いか悪いかという意見の書き方です。
 これは、言葉の森では、是非の主題と呼んでいます。

 よいか悪いかという意見を書いたあとの構成の仕方は、その意見の理由を書くという書き方です。
 初期の段階では、この理由を書くという書き方ができず、単なる実例を書いてしまう人がかなりいます。
 理由を書くためには、抽象的なことを考える語彙が必要になるからです。


 意見文の書き方の第二は、「べき」という書き方です。
 これは、言葉の森では、当為の主題と呼んでいます。

 「どうするべきか」という意見を書いたあとの構成の仕方は、その方法を書くという書き方になることが多いです。
 方法を書くときに大事なことは、方法の幅を広げることです。
 中学生や高校生が書く方法の多くは、個人の心構えのような人間的な方法だけになりがちです。
 心構えのような方法だけでは、方法の幅が広くなるので、社会的な方法も必要になります。

 中学生や高校生が最も身近に感じる社会的な方法は、学校教育のあり方です。
 日常的に学校教育に接しているので、そのよい面も悪い面も具体的にわかるからです。
 社会的な方法は、背伸びをせずに、自分のよく知っている社会の分野から始めていくことが大事です。


 意見文の書き方の第三は、「問題」という書き方です。
 今の世の中で、何が問題かという問題提起をする書き方です。
 言葉の森では、これを社会問題の主題と呼んでいます。

 「○○が問題だ」と書いたあとの構成の仕方は、その原因や対策を書くという書き方になります。
 原因には、大きく分けて、社会的空間的な原因と、歴史的時間的な原因とがあります。

 社会における問題の種類は多様ですが、原因の種類はかなり限られています。
 しかし、同じような原因を書いたとしても、その裏付けとなる実例を多様なものにしていけばいいのです。


 社会問題の主題の発展したものが予測問題の主題です。
 これは、今の問題を書くだけでなく、その問題が解決された先に生まれるであろう新しい問題を予測する書き方です。
 これを、言葉の森では、予測問題の主題と呼んでいます。

 予測問題の主題に対する構成の仕方は、対策を書くということです。
 しかし、具体的な対策を書くためには、予備知識が必要です。
 だから、対策は、対策の方向として考えていけば十分です。

 対策の方向は、大きく分けて、自主、民主、公開、発明というところで考えられます。
 社会的な問題の対策は、社会的に考えられがちですが、実は社会問題の解決の多くは、新しい発明によってなされました。
 だから、発明という方向も、社会問題の対策のひとつとして考えていく必要があるのです。


 意見文の書き方は、小学6年生では、まだ練習しません。
 しかし、教える先生が、そういうことも教えられる見通しで作文指導をしていることが大事です。


■■学校の算数数学と受験の算数数学の乖離。学校の算数数学の問題集では力がつかない。自分で独自に問題集を用意して1冊の問題集を夏休みなどに完璧に仕上げることが大事。算数数学の勉強は、解法を見て繰り返し理解すること

 昔は、学校の算数数学ができれば、受験にもそのまま対応できました。
 しかし、今はそうではありません。

 特に算数数学に関しては、易しい普通の問題と難しい受験用の問題の差が激しいのです。
 だから、学校の算数数学がよくできても、受験の算数数学はできないということが起こってきます。

 私は、子供たちの本当の学力は、読む力と書く力だと思います。
 難しい大量の文章を読み取る力と、自分なりに考えてそれを文章に書く力があれば、それで十分です。

 しかし、算数数学に関してはそうではありません。
 意外なことに、読む力も書く力もある子が、算数数学があまり得意ではないことがあるのです。

 それは、受験用の算数数学を勉強していなかったからです。
 だから、時間をかければ、必ずできるようになりますが、算数数学は、上達に時間がかかります。
 同じように、英語も上達に時間がかかります。
 だから、算数数学と英語は、苦手意識を持つとそのまま苦手が定着してしまうことがあるのです。


 これを解決するためにはどうしたらいいかというと、ひとつは、入試で算数数学のクイズを解くような難問を出さないことです(笑)。

 どんな難問も、解法を理解して、その解き方に慣れればできるようになります。
 しかし、そういう難問を解く訓練をしても、頭がよくなるわけではありません。
 ただ時間を費やしたというだけのことです。


 そうは言っても、入試の算数数学には対応しなければなりません。
 個人でできる勉強法は、夏休みなどの長期間の休みのときに、算数数学や英語だけを集中して勉強することです。
 1か月の集中学習で、成績は驚くほど上がります。
 つまり、算数数学や英語は、そういうレベルの勉強なのです。
 時間をかければ、誰でもできるようになるということです。


 算数数学の勉強法は、ただ問題を解くだけではなく、1冊の問題集のできない問題が1問もなくなるまで繰り返し解くことです。
 そのためには、問題を解こうとするのではなく、すぐに答えを見て、解法を理解することです。

 易しい問題を何問解いても力はつきません。
 しかし、子供も親も、勉強している雰囲気にとらわれるので、できる問題を繰り返し解くことを勉強のように考えてしまうことがよくあります。
 できる問題を解く方が、子供にとっても楽しいので、力のつかない算数数学の勉強をしている子がかなりいます。
 ほとんどの子がそうだと言ってもいいかもしれません。


 小学校の低中学年のころは、親が解き方を教えることができます。
 しかし、小学校高学年になると、親でも、解法を見ながらでなければ解けない問題が出てきます。
 そこで、勉強を子供本人や学習塾に任せてしまうと、子供はできる問題だけを解き、できない問題はそのまま放置してしまうようになります。


 今の問題集のほとんどは、解法が充実しています。
 難しい問題でも、解法を見れば理解できるようになります。
 子供に答えや解法を渡さない塾や学校もありますが、それは論外です。

 そのできなかった問題に印をつけておき、それを何度も繰り返し解くことが勉強です。
 中高生の問題になると、1回目にできなかった問題は、2回目もできないことが多いです。
 3回目も、4回目もできないことがあります。
 しかし、ほとんどの問題は、4回目か5回目になればできるようになります。


 ところで、親が子供に勉強を教える場合、言ってはいけない言葉は、「こんなこともわからないの」です。
 それは、親の自慢になるだけで、子供のやる気にはつながりません。
 子供のできない問題は、いつも笑顔で何度も同じように繰り返し教えることです。

 その繰り返しには、日を置くことが大切です。
 その日のうちに理解させようと思うと無理が出てきます。

 最初の日は軽く教えるだけで、子供が理解できなくてもいいのです。
 次の日も軽く教えるだけで、また子供が理解できなくてもいいのです。
 次の日も、次の日も、軽く教えていると、子供はいつか当然のように理解できるようになります。
 理解には、繰り返しの時間が必要なのです。



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