言葉の森新聞2024年5月2週号 通算第1802号
文責 中根克明(森川林)
■■これからの勉強は、基礎的な学力をつけ、個性的な学力を伸ばすこと
基礎的な学力は、必要です。
将来、社会に出て何をする場合でも、国語、数学、英語、理科、社会などの基本的な学力は要求されるからです。
だから、とりあえず、すべての教科をオール4以上にしておくことです。
どの教科も、8割ができていれば、必要なときにいつでも10割にすることができます。
しかし、大事なのは、基礎的な学力ではありません。
もっと必要なのは、個性的な学力です。
個性的な学力には、答えはありません。
自分の好きな分野があり、その分野で自分の読書や研究や思索を深めていくのです。
今はまだ、こういう個性的な学力の必要性を実感している人は少ないと思います。
意識は、いつも時代に遅れてやってきます。
ミネルバのフクロウは夕暮れを待って飛び立つのです。
だから、未来を見られる人は、勉強を個性の方向に切り替えておく必要があります。
個性の学力とは、作文、創造発表、プログラミングなどです。
特に、創造発表のような曖昧な概念の勉強が大事です。
社会の変化を先取りして、本当の勉強に取り組んでいきましょう。
■■小学2、3、4年生の作文で大事なことは、高校生まで続ける展望で勉強すること
●動画
https://youtu.be/15pFYzUW4I8
小学2、3、4年生の作文は、誰でも上手に書けます。
本をよく読んでいる子は、のびのびと自由に作文を書くことができます。
それは、それでいいのです。
しかし、大事なのは、その先の小学5、6年生になってからです。
小学5年生から、作文の課題に抽象的なテーマが入ってきます。
そのときに、その抽象的な課題について、親子で話をする機会があると、子供の思考力と語彙力が伸びます。
更に、その先には中学生の意見文があり、高校生の更に高度な意見文(論説文)があります。
作文の勉強は、そこまで続けることが大事です。
小学校高学年から、中学生、高校生にかけて、子供たちの思考力と表現力は成長していきます。
それは、大学生や社会人になってからも生きてきます。
小学2、3、4年生で作文が上手に書けることが目標ではないのです。
だから、小学2、3、4年生の作文は、褒め続けることが大事です。
書き方を注意したり、直したりすれば、一時的には上手になるように見えます。
しかし、それは、書き方のルールに収まる書き方ができるようになったということだけです。
そういうことは、自然に任せていても、いずれできるようになることなのです。
小学校低学年から作文の勉強を始めた子は、途中、いろいろな紆余曲折があったとしても、作文の勉強を続けていると、それが、毎週の読む習慣や、考える習慣の蓄積になります。
この蓄積が大事なのです。
時どき、昔の生徒で、いったん言葉の森をやめて、今は高校生になっている生徒から、「また、作文の勉強を教えてもらいたい」という連絡が入ることがあります。
いろいろな予備校で、作文や小論文の講座はあるでしょうが、それらの講座よりも、昔教えてもらったやり方で書く練習をしたいということなのです。
言葉の森のこれまでの生徒の合格実績があります。
https://www.mori7.com/beb_category.php?id=19
作文小論文で合格した子供たちは、単に希望の大学に入っただけでなく、その文章力と思考力をその後の社会生活でも、生かしていくはずです。
作文の勉強は、長い展望で続けていくことが大事なのです。
■■「学習グラフ」のページで、学習状況が確認できます――勉強にビジュアルな方向性
人間は、身体的に生きています。
それは、時間と空間の中で生きているということです。
という抽象的な話はさておいて、勉強には目標が必要です。
というのも、勉強、あるいは自分自身の向上というものは、人間が生きることに対して必須のものではないからです。
しかし、人間がこの世に生まれたのは、何かの意図があったからです。
意図は、使命と言ってもいいでしょう。
その自分の本来の意図あるいは使命を実現するためには、生きるための方向性が必要です。
方向性は、先験的に決まっているわけではありません。
誰でも、試行錯誤の中で、自分の生きる方向を決めていきます。
しかし、学生の場合、基本の方向はある程度はっきりしています。
それは、主に勉強面において、自分自身を向上させることです。
勉強における向上とは、必ずしも成績を上げることを意味しません。
本質的な意味で、自分の実力を向上させることです。
その本質的な向上に近いものが、読書力、作文力、発表力、国数英理社の教科の学力などの向上です。
人間は身体的に生きているので、目に見える目標があると、その目標に向かって努力することができます。
そのために、個々の生徒の学習記録を一覧できるページを作りました。
学習グラフのページ
https://www.mori7.com/gs/
ホームページの「よく使うリンク」から行くことができます。
この学習グラフの一部は、毎月1回、定期的にアナログ通信でお送りします。
すでに、4月と5月に「森からゆうびん」というA4葉書を郵送でお送りしました。
ただし、郵送で送れるのは、日本国内の生徒のみです。
学習グラフは、海外の生徒も見ることができます。
ウェブの学習グラフは、「森からゆうびん」の情報よりも詳しく、リアルタイムで更新されています。
定期的にこの学習グラフを見て、勉強の方向を確認していってください。
■■学習グラフの見本
●動画
https://youtu.be/afeGfCyVdYs
学習グラフは、オンラインクラス一覧表の(イルカの絵)から、その生徒の学習グラフに飛べます。
学習グラフのページで、生徒コードを入れると、それぞれの生徒の学習グラフが表示されます。
・作文字数グラフ
・森リン点グラフ
・作文の題名(直近4件)
・読解検定グラフ
・読解検定の点数内訳(直近1件)
・自習記録
・国数英の確認テストの点数(直近3ヶ月)
・読書記録(直近4件)
・学習記録(直近3件)
・国数英の確認テストベスト(80点以上の生徒)
(生徒本人がいる場合は、赤の太字で名前を表示)
・暗唱検定の記録
・作文字数ランキング(現在の月の分)
(自分が全体の何位かわかる)
・森リンランキング(同じく)
・読検ランキング(同じく)
・森リンベスト(当月分)
(生徒本人がいる場合は、赤の太字で名前を表示)
・森リンベスト(前月分)
(生徒本人がいる場合は、赤の太字で名前を表示)
・読解検定ランキング(過去1年間分)
(生徒本人がいる場合は、赤の太字で名前を表示)
学習グラフのページ
https://www.mori7.com/gs/
ホームページの「よく使うリンク」から行くことができます。
▼見本の画像
https://www.mori7.com/izumi/gazou/2024/5111320420.jpg
■■勉強の基本は家庭学習――学習グラフの「■学習記録」が基準
国語、算数数学、英語、理科、社会の勉強の基本は、家庭学習です。
参考書や問題集をもとに、自分のペースでやっていけば、誰でも勉強はできるようになります。
ところで、教科書は、実は、あまりあてになりません。
特に、算数数学や理科は、先生が教えることを前提に作られているので、説明が不十分です。
また、問題が易しすぎます。
だから、自分の実力に合った市販の算数数学の問題集を自分で用意する必要があります。
オンラインクラスの国語読解、算数数学、英語をやっている生徒と、基礎学力と総合学力の生徒は、毎週必ず学習記録を必ずつけておいてください。
学習グラフの「■学習記録」を見ると、勉強がどのくらい進んでいるかがわかります。
学習記録は、毎週の授業の前に入力するようにしてください。
現在の受験勉強は、昔の中国の科挙と同じです。
記憶力が重要で、その記憶力をカバーするのが、かけた時間です。
中学生は、毎日2.5時間の勉強時間が必要です。
時間をかければ、誰でも成績は上がります。
それ以上、時間をかける必要はありませんが、ほとんどの生徒は時間不足だと思います。
オンラインクラスの授業の基本は、学習状況のチェックと質問の受付です。
学習状況のチェックについては、これまで、生徒別のデータが見つけにくいところにありましたが、今回の学習グラフで、すぐにわかるようになりました。
■学習記録で、毎週5~10ページ、問題集が進むように勉強していきましょう。
https://www.mori7.com/gs/
■■外国人の子供の日本語教育の基本は、日本語の文章を読む力をつけること
昔、中国から日本に来た小6の男の子がいました。
中国の漢字は読めますが、日本語の文章の漢字は、中国の読み方とは違うのでなかなか読めません。
そのときに、読んでいるのは、ひらがなだけの絵本のような本でした。
そこで、作文の課題の長文を毎日音読してもらうことにしました。
そのままでは読めませんから、ふりがなのページで、全部の漢字にふりがなをつけた長文を印刷し直して渡しました。
https://www.mori7.com/musi/ruby.php
その子のお母さんが立派で、毎日必ず、その子に音読をさせてくれました。
音読と言っても、1500字ぐらいの長文ですから、読むのには5分もかかりません。
大事なのは、それを毎日続けることです。
すると、作文もどんどん上達し、中学3年生のころには、日本の中学生と同等かそれ以上の立派な文章を書けるようになり、第一志望の高校に合格しました。
外国人の子供が日本で勉強する場合、小学4年生ぐらいまでは勉強も比較的楽にできるようです。
わからないことがあっても、友達に聞けば、耳学問のような感じで理解できるからです。
しかし、小学5年生になり、抽象的な概念が出てくるようになると、耳学問だけではついていけません。
小学5年生以降は、自分で日本語の文章を読む力がなければ、勉強についていけなくなるのです。
勉強法は、単純です。
毎日、課題の長文を音読することがひとつで、もうひとつは毎日読書をすることです。
音読は、朝ご飯の前にすると続けやすくなります。
食卓に、課題フォルダを置いておき、音読をしてから朝ご飯を食べるようにすれば毎日できます。
読書は、学年の10倍ページが基本ですが、苦手なうちは、毎日10ページ以上を読むというようにすれば続けられます。
勉強の基本は、この単純なことを、1日も休ますに毎日続けることです。
そのためには、音読を近くで聞くことのあるお母さんは、子供がどんな読み方をしても褒め続けることです。
男の子は、特に、単調な勉強に飽きるので、ふざけて読んだり、早口で読んだり、中の言葉を言い換えて面白く読んだりということをします。
それをすべて褒めて、毎日の音読を続けさせるのです。
子供は、小学生のうちは、嫌々でも音読をしますが、中学生以降は音読をしたがらなくなります。
親も、中学生の子に、音読を強制することはなかなかできなくなります。
先ほどの中国から来た子供のお母さんも、子供が中学生になっても音読を続けさせるのはかなり苦労したと言っていました。
しかし、最もよい国語の勉強法は、この音読と読書です。
読書のレベルを上げるためには、毎日50ページ以上読むこと、物語文だけでなく説明文、意見文の本を読むことです。
中学生、高校生は定期テストがあるので、定期テストの2週間前からは、読書はいったん休んでもいいのですが、読書力のある子は、テスト前でも本を読んでいます。
この読書力が、学力の土台になるのです。