あおらはさんの読書記録
あおらはさんの感想
「先生の遺作には妙な箇所があります」ある夏の日、叔母の編集者だった勅使河原にそう言われた。ざっくり読んでみたが、特にそのような箇所は見つからず、私は勅使河原が何を言っているのか分からなかった。叔母の遺作は若かりし日の叔母と友人たちの間に起きた事件を解決する内容だった。しかし読み進めていくうちに考えたくはないある一つの事実が思いつく。叔母が作中で書いた身体醜形障害の主人公響、子供の頃に起きた火災で頬に火傷の痕が残っている郷音、相貌失認の伊織、かつての旧友だった3人たちの絆によって閉ざされていた事件の真相が明らかになる。そしてまた、亡き叔母が作中で伝えたかった本当の真実とは。タイトル、表紙の四つに割れた鏡、削除されたもう一つのエピソード、様々な精神疾患、過去のトラウマを抱える3人のハラハラドキドキ、真実を反転に反転させられる読んでいて爽快なミステリー。