ツラナガコビトザメ（学名：Mitsukurina owstoni）は、深海に生息する珍しいサメである。その特徴的な外見から「ゴブリンシャーク」とも呼ばれている。全長は3〜4メートルに達し、特に長く伸びた鼻部が非常に目立つ。この鼻部は電場感知器官として機能し、獲物を検知するために用いられる。

ツラナガコビトザメの体色はピンク色がかった灰色で、鰓を通じて血液が循環するため、皮膚が透けて見えることがある。そのため、血液の色が反映され、独特のピンク色となるのだ。目は大きく、低光量の深海環境に適応している。光の少ない深海で生活しており、食性は多様で、魚類や甲殻類などを捕食する。

ツラナガコビトザメは世界中の深海に広く分布しており、特に日本周辺の海域で多く見られる。通常は水深200〜1300メートルの深さに生息しているが、稀に浅瀬に現れることもある。

ツラナガコビトザメはその見た目と深海生物としての特性から、科学者にとって非常に興味深い存在である。特にそのユニークな顎の構造は、獲物を捕らえる際に上顎が非常に前方に突き出るという驚異的な動きを見せる。この動きは他のサメには見られない特徴であり、ツラナガコビトザメの研究において重要な焦点となっている。

深海という過酷な環境での生活に適応したツラナガコビトザメは、まだ多くの謎を持っている。その生態や行動についてのさらなる研究が進めば、この珍しいサメの理解が一層深まるだろう。