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ゆうと aetoku 2025/01/20 21:48:42 43625
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一流ホテルのロビーには、田舎者風の騒がしい客や都会人風の洗練された客がたむろしていることが多いが、実は彼らの多くはホテル側が雇った「模範」や「反面教師」である。この仕組みは、初めてロビーを利用する本来の客が、ふさわしいふるまいを自然と学べるよう配慮されたものだ。たとえば、トイレの場所を尋ねる際、都会人のようにボーイを指で軽く呼び寄せる方法を真似しようとしても、慣れないうちは失敗することが多い。しかし、経験を積み成功すると、大きな達成感を得られる。最終的にはそのふるまいが認められ、模範としてホテル側に雇われる可能性すらある。このようにしてロビーは、客に教育的効果を与えつつ、一流の待ち合わせ場所としての価値を保ち、初心者が徐々に洗練された利用者へと成長する場となっている。
確かに、自分らしさは大切だ。私は、改まった席でも、できるだけ自分らしい服装や振る舞いで行動するようにしている。自分らしさを服装で表することで他人と親しみやすく慣れると思う。
しかし、その場に応じた振る舞いも大切だ。結婚式に黒いネクタイをしていく人はいないし、お葬式に真っ赤なシャツを着ていく人もいない。桃太郎も、鬼退治に行くときは、頭に鉢巻をしていった。その場にあった服装ではないと失礼な人だと思われるし、将来社会に出た時に自分が困る。
確かに、自分らしさも、その場に応じた振る舞いも、どちらもそれなりに大切だ。しかし、共通して言えることは、そこに周囲の人に対する思いやりがあるかどうかということである。『家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである』という言葉がある。中に住んでいる人にとっていちばん心地よい状態が大事なのである。