これまでの時代は、物を生産する時代であり、インフレの時代であり、グローバル化の時代であり、競争と戦争の時代であり、宣伝と営業の時代であり、生産の連関を形成するインフラが重視される時代でした。
この時代のキャッチフレーズは、よりよい物を安く広くでした。この場合の「よい」の基準は、物的なよさ、つまり便利さでした。
しかし、この時代は終わりつつあります。その象徴が、高付加価値の路線です。
よい物を安く広くという考えが、よいと思われそうなものを高く広くに変質していったのです。これは、物を広げるフロンティアがなくなってきたためです。
物を広める時代のあとに来るものは、事を高める時代です。これは、人が何かをすることに価値を見出す時代です。
人が経験するということの中には、単なる経験としての旅行や観劇なども含まれます。しかし、経験の本質は、その経験によって自分が向上するという学習や修行を中心としたものです。
この時代は、物の上ではデフレの時代であり、調和と平和の時代であり、ローカル化・パーソナル化の時代であり、評判と交流の時代でであり、学習の連関を形成するカリキュラムが重視される時代です。
キャッチフレーズは、よい事を高く狭くという言葉で言い表されます。この場合の「よい」の基準は、人としてのよさ、つまり自身の幸福や向上や創造につながることがよいことだとされます。
この時代の象徴となるものは、さまざまな講習会や研修会で、より高度な技をより少数で身につけていくという方向に進んでいきます。
さて、教育も、物を広める時代の教育から、事を高める時代の教育に切り換えていく必要があります。インフレの時代の教育から、デフレの時代の教育に切り換えて行く必要があるのです。(つづく)
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コメント欄
もう12月、という言葉がよく聞かれます。
まだ12月などと言う人はあまりいません(笑)。
時間の流れが加速しているように思えるのは、今が時代の転換点で、古いものと新しいものが急速に入れ替わっているからです。
だから、過去の延長で考えるのではなく、常に時代の先を見ていく必要があるのです。
長谷川慶太郎さんは、現代はデフレの時代であり、インフレの時代はもう終わったと述べています。
時代を再びインフレに向かわせるために、戦争を行おうとしている人もいますが、インターネットで情報が共有される時代には、先進国では戦争に誘導することはかなり難しくなっています。
だから、これからもデフレが続くと考えて、未来の展望を考えていく必要があります。
インフレの時代からデフレの時代への転換は、言い方を変えれば、物を広める時代から事を高める時代への転換です。
だから、教育もその方向で考えていく必要があるのです。
量より質ですね。
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