兄弟で上の子が読書や作文が得意な場合、下の子は年齢的に上手に読んだり書いたりできないせいもあり、上のことを比較して苦手意識を持ってしまう場合があります。
親は兄弟を比較するつもりがなくても、上の子を褒めるときに、「読書が得意だね」とか、「作文がよくできるね」とかいう言葉で褒めると、それを聞いていた下の子が、自分は別の路線で褒められるようになろうというふうに思ってしまうのです。
いったん苦手意識を持つと、親がどんなに励ましたり褒めたりしても、心の中では納得できないので苦手意識が続きます。
そこでどうしたらいいかというと、下の苦手な子だけを見て、毎日の長文の音読と読書をただ続けていくだけなのです。
毎日の音読で同じ文章を繰り返し読むようにしていると、その文章のリズム感がその子の作文の中に出てくるようになります。
しかし、そうなるまでには、半年ほどの時間がかかります。
すぐの成果を求めるのではなく、ただ毎日の同じ文章の音読を褒め続けるということでやっていくとよいのです。
(この長期間の音読の継続にはいい方法がありますが、それはまたいつか書きたいと思います。)
読書も同様です。
毎日のページ数を決めて、ただ読んだことを褒めるというふうにしていきます。
音読と読書という一見作文に直接の関係のないようなことが積み重なって、それがやがて作文力として現れるます。
しかし、それには長い時間がかかります。
作文を上手にさせるために音読と読書を始めたということを、親がすっかり忘れてしまったころ、いつか気が付いてみると作文がしっかり書けるようになっていたという形の進歩なのです。
他の教科の勉強、例えば算数数学などは、学力の差がかなりあるように見えても、夏休みなどの短期間の集中学習の結果驚くほど成績が上がるということがあります。
それは、教科の勉強は答えもあり解き方もある勉強なので、それを身に付けようと思えば短期間で自分のものにすることができるからです。
ところが、作文はその子のそれまでのトータルな読書量や経験量や語彙力などが総合化されたものです。
だから、何かの練習をしたらすぐに上手になるということはないのです。
作文は、まだ低学年のうちから息の長い勉強として進めていく必要があるのです。
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勉強が苦手だった子が、急に得意になるということはありますが、作文が苦手だった子が急に得意になるということはまずありません。
ただし、作文が嫌いだった子が、急に作文が好きになるということはあります。
この好きになった時期に、毎日の音読と読書の仕組みを家庭学習の中で作っておくとよいのです。
作文がしっかり書ける子は、考え方もしっかりしています。
特に高学年になるほど、作文力は単なる表現力ではなく、思考力という面を持ってきます。
だから、思考力を育てるということは、決して抽象的な勉強ではなく、作文力を育てることと同じだと考えておくとよいのです。
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