昔、学習院大学の学長だった木下是雄さんが、「理科系の作文技術」という本を書いていました。(1981年)
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今、見てみたら、その漫画版も出ているようです(笑)。
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私もちょうどそのころ、理詰めに書く文章が大事だと思っていたので、その内容を共感を持って読みました。
国語というと、文章表現の巧みさのようなところで評価されることが多いようですが、生活に役立つ国語は理屈で成り立つ国語です。
当時行われていた国語を教える学習塾では、学年が上がるにつれて古文や漢文の世界に進んでいくようでしたが、それは国語の本来の方向とは違う気がしました。
そこで考えたのは、国語の究極の目標は哲学であり、それはまた理系の頭脳を必要とするということでした。
今の国語の先生の多くは、文系の教科として国語を考えているので、子供たちにも理屈で説明しきれない心情や表情などを過大に評価する傾向があるように思います。
また表現の上でも、川がさらさらと流れているか、とうとうと流れているかというようなニュアンスの違いをやはり過剰に重視する傾向あるように思います。
さらさらか、とうとうかということは、文化の問題であって国語の問題ではありません。
国語の本質で大事なことは、流れているかどうかということと、更に詳しく説明するのであれば、その流量や速度や川幅や透明度がわかるように表現することです。
そして、それを単なる自然の記述だけに終わらせないために、そこにより抽象的な思考が入ってくるのです。
抽象的な思考とは、なぜそこにそう流れているのかとか、それをどう生かせるのかというような、今の川の現象面を超えた思考です。
だから、国語の好きな人は、国語でとどまらずに理系の勉強を進める必要があり、逆に、理系の人は国語の文章力を伸ばすようにしていくことが大切で、その両者の共通点は、哲学的な深い思考にあると思ったのです。
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理科系の国語ということで、小学生の子供たちに奨めたいのはこういう本です。
理科好きな子に育つ ふしぎのお話365
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この本は、単に現象面だけの不思議な話にとどまらず、その原因などもわかりやすく書かれています。
言葉の森の高校生の作文項目に「自然科学実例」というのがありますが、その実例としても使える内容ですから、小学生だけでなく、中高生も読んでみる価値があると思います。
自然科学系のわかりやすい本を読むと、子供たちはその話をすぐにほかの人に伝えたくなります。
それは、人間に知的好奇心というものがあり、何かを理解できたということがうれしいからです。
子供のそういう話を聞いたお母さんやお父さんは、それをうるさいとは思わずに(笑)、感心して聞いてあげることです。
そして、できれば、子供の話を上回る質問をして、一緒に考えてみるといいのです。
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