サングラス効果 |
イチゴ | の | 峰 | の広場 |
舞 | / | あおき | 高2 |
サングラスをかけると、なんとなく世間から1歩ひき、害の及ばない安全地帯 |
をひっそり歩むことが出来る。そして、塀にあいた節穴から世間というものを |
覗き見している心境の様だ。。。と、作者は言う。作者の感想は尤も至極な感 |
想だと思う。 |
その理由は、サングラスとは、外界から自分を守る為の物だと、私は思うか |
らだ。 |
めがねとは、近視や老眼などの不完全な視力を調整し、周囲を見るだけでは |
なく、その善悪・可否を考え定める事を言うそうだ。そこから考えると、サン |
グラスとは作者の言うように、めがねとは逆の働きをしていると思う。 |
つまり、サングラスは当初の目的として光を遮る為に作られ、その後にそれ |
だけではなく光から自分自信をも隠し、善悪を関係なしに孤立した自分を表す |
働きを持ったと言っても過言ではないと思うわけだ。だからこそ、世間から自 |
分が見えなくなるという、作者の言うような錯覚を得るのだろう。そのような |
意味でサングラスをかけた時、我々は新しい世界を発見できる。人が、周囲が |
、世界が違って見え、全てが自分とは違ったところで動いてしまうのだ。 |
このサングラスの話を具体化したような小説として、安部公房の「箱男」と |
いうものがある。この主人公らは頭からダンボールをすっぽりと被り、覗き窓 |
から他の生活を見つめている。それは、サングラスをかけて他の人を見つめて |
いる姿とあまりにも似通っていた。 |
しかし、これも自分だけが他人を干渉しているようにみえるが、実際の立場 |
は逆転してしまう。 |
また、最近では女子高生までもが化粧をし、普通に外を歩いている。……あ |
りふれた風景である。それが一般的な化粧ならば誰も気に留めはしない。しか |
し、一部の流行では顔を黒く塗り、白の口紅やアイラインをひくものがあった |
。これもまたサングラス効果であると思う。当の本人達は可愛いと感じ、その |
化粧法を始めたのだと思う。しかし、結果的にはそのような化粧をすることで |
自分を孤立させているだけなのかもしれない。というのは、その様な化粧をす |
ることによって、普段の感覚が麻痺し、素顔とは違った自分が生まれるからだ |
。 |
某番組で、その様な化粧をしている子を集め、更正させるというものがあっ |
た。そこに出ている子は大抵の場合、化粧をおとすと“大人しい子”に変貌す |
る。つまり、大胆な化粧をすることで、自分を変えていたのだと窺える。 |
これらの様に、サングラス効果は様々な方法で使われている。忙しい生活を |
送り、日々人との関わりのある中にいる我々は、一時の休息の術として身につ |
けた方法かもしれない。 |
しかし、勘違いしてはならない。サングラス効果によって出来た自分は自分 |
であって、自分でない。そして、自分が全てのものの頂点にいるようで、一番 |
下にいるかもしれないのだ。自分を変えてみることは必要だが、サングラス効 |
果で休息を得て有頂天になっている時も我々は自分を失ってはならないのだ。 |