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人間とロボット
アジサイ の広場
あやの あしわ 高3
 去年から発売のペットロボット「アイボ」が人気を集めている。老人ホーム
へのペット貸し出しや、ペットと一緒に暮らせるマンション等の人気からも分
かるように、今人間とペット、人間とロボットの関わり方に注目が寄せられて
いる。
 
 これまで、我々の日常生活は動物との関わりを半ば否定されてきた。それは
古代からの習慣と照らし合わせると非常に不自然な傾向であった。だが生き物
とその精神、人間と動物を全く別のものとして切り離した近代主義の思想を突
き詰めた結果の「管理社会」の下で、便利さ、安易さ、効率の良さを求めた現
代人にとって、動物と共に暮らすことは負担が大きかったのだ。そして今、生
きたペット特有の手間がかからないロボットペットが、人間の要求を満たすも
のとして人気を集めている。しかし生き物を飼うことの利点の一つは命の大切
さや、「死」の概念を理解することである。ロボットのペットはそのことを我
々に実感させることは出来ない。ロボットペットが将来一般化すると、人間が
他の動物を自由に操れるという錯覚を生み、人が「生き物」や、「命」を粗末に
扱うようになる恐れがある。
 
 だが既にロボットの社会進出は拒めない。単純作業や「3K」などの職種は
ロボットが、創造的、芸術的な職業は人間が担うようになるのだろうか。将来
はロボットと人間が分業する可能性が考えられる。私がここで最も指摘したい
ことは、多くの人が「ロボットは完全だ。」、「ロボットは人間より優れてい
る。」というような間違った先入観を抱いていることだ。だいたい不完全な人
間が完全な何かを生み出せるはずもないし、人間が人間以上の何かを生み出す
ことも不可能なはずだ。ロボットが改善されるに連れて、「ロボット万能」先
入観に注意が必要となる。
 
 一人暮らしの人や、生きたペットを飼うことが出来ない人々にとって「アイ
ボ」等のロボットペットは掛け替えのない心の支えになっている事実は否定で
きなし、これからもロボットが人に与える心理的効果には期待がかかるだろう
。だがそれはあくまでもロボットであり、人間が人間の為に作った服従者であ
って、決して「腹心の朋」にはなり得ないことを忘れてはならない。
 
 このような社会の現状からも分かるように、今後気軽に動物と生活できるよ
うな、常に人間と動物が関わり合える環境を整備する必要がある。と同時に我
々は動物との接し方や、マナー等を身につけることが必要となる。このことが
人間性を無視した不自然な近代社会の構造を見直し、改革する一つの方法とな
るのではないか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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