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小6 |
色づいたカキは日本の秋を彩る風物詩だ。日本でカキの栽培史は、八世紀ごろまでさかのぼることができる。大正期までカキは日本の果物の王座に君臨し |
ていた。カキは千年の時を越えて、今なおただで食べられる日本最大の果物なのだ。さて、周知のようにカキには甘ガキと渋ガキとがある。渋ガキは、成熟 |
した後も人為的な渋抜きが必要になる。渋の本体はタンニンである渋は無用な時期に果実が動物に食われるのを防ぐ「適応」的な意味を持っている。 |
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僕は、カキはあまり好きではない。祖父の家ではカキを作っている。残念ながら渋ガキか甘ガキかは分からない。だが、カキの様に、種が成熟するまでは |
、とても渋い果物(だか何だか分からない)物は知っている。近くにある円海山にある、ヤマブドウである。ヤマブドウは、直径0,5cmほどの、小さいぶど |
うのようである。始めは、緑っぽい色をしていて、それがどんどんうす紫になり、食べごろになるとつやのある黒っぽい色になってくる。僕は、間違えて、 |
まだうす紫色の実を食べてしまったことがある。カキは、熟していないと渋いというが、ヤマブドウの場合も同じだった。なんだが、苦虫ならぬ渋虫をかみ |
つぶしたような感じだった。本当は、甘酸っぱいはずのヤマブドウが、とても渋かった。たぶんヤマブドウも、種が成熟していないうちは動物に食べられな |
い様にしているのだろうと、僕は思った。 |
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植物と動物は、助け合って生きているということが、本に載っていた。植物の実(種)が動物を食べ、実を食べた動物がふんをする。そのふんからまた新 |
しい生命が誕生するのだ。もし、種を運ぶ役割をする動物がいなかったらどうなることか。種は、木から真下に落ちる。そこは木の根もとの付近。そこから |
、芽が出る。ところがその後、すぐそばにある木に、大量に養分を取られてしまい、芽は育たない。そのため、動物は、とても重要な役割をしている。 |
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「先んずれば人を制す」ということわざがあるが、渋ガキが熟すまで待っていては烏に食べられてしまう。でも、カキの木を増やすために、烏がカキを食 |
べるのもいいかもしれない。「急がば回れ」である。植物と動物には、深い関わりがあり、自然のネジが少しでも狂うと、物事が成り立たない。自然とは、 |
とても不思議で、人間などはかなわぬものだと思った。 |
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