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セコイ日本人 ウグイスの広場
ひろりんあしゆ中1

 今日の都市生活には欠かせない行列という社会現象がある。駅の切符売り場や学生食堂、近頃はデパートのトイレの前などでも見られるあたりま
えの光景である。それは身分の差や地位に関係なく先着優先の原則がなければ、だれも列を作って順番をまとうとはしないだろう。士農工商の身分 制社会では絶対起こりえない行動様式である。その行列にも、独特の論理と構造がある。空港のチェックイン・カウンターで1時間前ぐらいに行く とわかるが、数人様子をうかがうようにたっている。誰も並んでいないのに並ぶのもバカバカしいが、誰かが並ぶと心配になって列に加わるのであ る。並ぶと並ぶでイライラ感や焦燥感、不安を感じる。ギリシア人などヨーロッパでも工業化がおくれた社会の人々には、行列が羊の群れに見える  

 筆者が述べた「空港のチェックカウンター」のケースは日常にもよくあることだ。例えば私の場合、陸上の大会の時だ。走る前、選手はコール(
召集)というのを受ける。コールというのは選手のユニホームやスパイクのピンを確認するもので、だいたい30分前に集まる。もちろんそれには 行列ができる。しかし30分より早く行ってしまうとたいがいまだ誰も並んでいない。そういう時はコールが始まるまで少し待つのだが、空港のと きと同じで、誰か並び始めると不安になって列に並ぶのである。だれも並んでいないときは「誰も並んでないからまだいいやー」という気持ちがあ り、誰かが並ぶと自分だけ遅れている感覚に見舞われるのである。  

 ギリシア人には行列が羊の群れにしか見えないと言うが、羊の群れに見える、イコールばかばかしいと言う意味ではないだろうか。誰か先に並ん
でいないかよくチェックして、誰かが並んだら自分がはじめて並ぶのである。「自分は1番はいやだからだれか先に並んでくれ」精神である。それ は日本人のセコイところだろう。ギリシアが工業化が遅れていると言っても、ずっと工業化が進んでいる日本よりも精神がずっとまともなのではな                                                      
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