| 先進国の後を | 
| アジサイ | の | 道 | の広場 | 
| 冨田 | / | あよ | 高1 | 
| ドブネズミのガンバば別れ際、シマリスのグリックに言った。「俺は君が家 | 
| を飛び出してきたって聞いてから君を気に入ったぜ。冒険ってのはみんな話し | 
| は好きだが、実際はしたがらないものなんだ。熊ネズミとの戦い、確かにあれ | 
| もすごい体験だったかもしれないよ。しかしあれは君の冒険ではなかったのさ | 
| 。君の冒険はこれからの自分との戦いなんだ。」 | 
| 日本はこれまで欧米に追いつけ追い越せと近代化をはかってきた。しかしそ | 
| れは残念ながら日本独自の冒険ではなかったのは確かである。アメリカは手探 | 
| りで新たな社会を作ってきた。近代化に乗り遅れた日本は、画一的な教育によ | 
| って同じように優秀な人材を創り出し、欧米を目標にアメリカ製の完成品を輸 | 
| 入し、またはそれが日本の社会になじむように改良して取り入れてきた。しか | 
| しいざ日本がアメリカに追いついてみれば自ら新たな社会を作る必要に突き当 | 
| たったのである。ガンバの手伝いとしての戦いではない、「自分との戦い」の | 
| 辛さに気づいたというのが現在の日本の状況である。これまで欧米諸国に追い | 
| つくために画一的な人材が重要な役割をになってきたが。新たな社会を創り出 | 
| していく必要のある現在、新たな視点をもった人材が必要になってきているで | 
| あろう。 | 
| ではどうすれば良いのか。現在の画一的な教育を改めていくのも一つの方法 | 
| であるがそれと同時に、他人と同じ考えであることを良しとする我々の意識を | 
| 改めていくことが大切であろう。私が子供のころ読んだ短編に次のようなもの | 
| があった。ある女の子がある日空を見上げて言いました。「空に光っている星 | 
| を取って。」お父さんは困って「あれは遠すぎて取れないよ」と言いました。 | 
| 女の子はそれを聞いて外で一人で泣いていました。すると足元の土がもそもそ | 
| と動いてモグラが出てきて言いました。「足元を見てごらん、君は地球と言う | 
| 星に立っているんだ。きれいじゃないけどこれは星のかけらさ。」そうして女 | 
| の子は土を受け取ると大喜びで家に帰りました。これは見方を逆転させること | 
| によって新しいことに気づいた例であろう。逆転の思想が新たな考えの原点に | 
| なることはとても多い。ウィリアム・ハンコック氏による過去に現在より優れ | 
| た文明が存在したとする説などその好例である。合っているかどうかではない | 
| 。逆転の思想が新しい見方を提供すると言うことが新たな社会を作る上で重要 | 
| であろう。画一的な考えに従って虫捕り網を長くしたところで星を取ることは | 
| できないのである。 | 
| 確かに画一的な考えは国全体で一つの目標に向かっていくときには有利であ | 
| る。画一的な教育による画一的な能力を持っていた方が一つの考えを浸透させ | 
| やすく小回りも利きやすい。しかし目標がはっきりとは見出せない現在におい | 
| て画一性より多様性の方が新たな道を見つけていくのに有利であろう。画一的 | 
| であった生物が進化するにつれて多様化して色々な状況に適応してきたように | 
| これから多様化が重視される社会が来ることは確かである。そのなかで新たな | 
| 視点をもって働きかけていくことが最も重要なことであろう。それは「自分と | 
| の戦い」であり辛くはあるが、自ら創造していく楽しさもあるように思われる | 
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