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中国から離れ、日本の文化創造に目を向けよう as/1024.html
森川林 2010/09/25 20:27 
修 削



 日本は、敗戦後の復興を、国内産業の保護、輸出産業の育成という方向で行ってきました。それが、やがて日本と欧米との貿易摩擦を生み出すまでに成功を収めてきました。

 この成功体験に目をくらまされているのが、現在の日本の姿です。

 アメリカが金融資本主義の行き過ぎで失速し、日本からの輸出を受け入れられなくなってきたとき、日本の輸出産業は、アメリカ以外の新たな輸出先を探しました。

 ただし、アメリカの輸入代金は、日本が米国債という形でアメリカに貸したお金でしたから、本当は日本は輸出に力を入れるよりも、もっと国内を豊かにすることに力を入れていけばよかったのです。

 さて、日本が輸出先を新たに見つけようとしたときに、最初に目についたのが、発展途上の中国の14億の人口でした。

 しかし、これが実は、日本にとって成功体験の罠になろうとしているのです。

 アメリカでの消費は、その先進国という性格上、自動車にしても家電製品にしても、比較的新しいものや高級なものに重点が置かれてきました。

 中国での消費は、その発展途上国という性格から、既にある古い製品で安いものを中心に需要される傾向があります。

 ここで、日本の企業が何しろ売れればいいと考えて生産をすると、日本の産業が、中国の消費の性格から変質する可能性があります。

 顧客が高度な審美眼を持ち、製品に高性能を要求するものであれば、生産者は、そういう生産に適応しようとします。顧客が、多少粗悪品でも安ければいいと考えるならば、生産者はやはりそういう生産になじんでいきます。

 例えば、観光客用の料理店を考えてみると、その店に来る人が味と雰囲気にうるさければ、洗練された料理を作るために、人にも材料にも配慮しなければなりません。しかし、店に来る客の多くが、味や雰囲気よりも安さやボリュームを要求するならば、その店は、腕のいい料理人よりも安いアルバイトを使い、いい材料の調達よりも何しろ安いものを使うという体制になります。

 そして、いったんそういう生産体制になると、ほかにも同じような安さとボリュームの店が次々とできるようになったときに、元の洗練された料理店に戻ろうとしても戻れなくなります。

 中国での需要は、そういう性格を持っています。需要に合わせて最初は売れても、やがてそういう製品は中国でも同じように生産できるようになります。そのときに、元の高度な製品作りに戻ろうと思っても、そのための人材やノウハウがなくなっている可能性があるのです。

 大きなマーケットに目を奪われて、どこでも作れるものをより安く作る方向に向かうならば、日本の持ち味はなくなります。だから、中国のマーケットに進出することや、中国の観光客を受け入れることは、一考を要することなのです。

 もちろん、中国が日本の製品を輸入するとか、日本に観光に来るとかいうことは、拒むことではなく歓迎することです。しかし、それは、日本が日本独自の持ち味を保っていることが前提になります。中国に合わせて、製品を買ってもらうとか、観光に来てもらうとかいう態度で対応するものではありません。

 今の日本で、中国に輸出しなければやっていけないという産業は、大きな目で見ると過去の産業です。大きな企業は急には方向転換ができませんから、しばらくは中国のマーケットをあてにしてやっていくことはやむをえません。しかし、長期の戦略は、中国から離れてやっていく力をつけることです。

 そして、今の中国から離れる力をつけることは、実は、未来の世界のマーケットを先取りする力をつけていることになるのです。



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